桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)
おもに神経痛や関節痛に用いられる漢方薬です。
構成生薬
1.桂枝湯+附子⇒桂枝加附子湯
2.桂枝加附子湯+朮⇒桂枝加朮附湯
さらに茯苓を加えて、
3.桂枝加朮附湯+茯苓⇒桂枝加苓朮附湯
桂枝加朮附湯に、ただ利水作用のある茯苓を加えただけ、と思うかもしれないですが、
これによってなんと、
茯苓・桂皮・朮・甘草が揃っており、苓桂朮甘湯。
茯苓・芍薬・朮・生姜・附子も完成しており、真武湯です。
つまり桂枝加苓朮附湯は、桂枝(加附子)湯ベースでありながら、
苓桂朮甘湯と真武湯とが組み込まれたことになります。
エキス製剤で桂枝加苓朮附湯がないときは、桂枝湯+真武湯で代用することができます。
効能効果
医療用エキス製剤
関節痛、神経痛
薬局製剤
体力虚弱で、手足が冷えてこわばり、尿量が少なく、ときに、動悸、めまい、筋肉のぴくつきがあるものの次の諸症:関節痛、神経痛
ポイント
桂枝加朮附湯と同様に、関節痛、神経痛に用いられます。
とくに、慢性的なもので、冷えると症状が悪化する(温めるとラクになる)ような痛みです。
さらに茯苓が加味されていますので、めまい・ふらつき・むくみ・動悸などをともなうもの、
または水代謝のわるさが痛みを増強させているものに対して、より適しています。
桂枝湯や真武湯を用いるときと同様に、一般に虚証向きの方剤です。
長期に使用するときは、甘草の副作用(偽アルドステロン症など)に注意が必要です。
出典
『方機』(18世紀)
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