漢方薬の小児の用量について

粉薬の薬袋

漢方薬をお子さんが服用する場合の服用量の目安

小児の漢方薬を服用できる年齢または用量については、厳密に定められているわけではありません。

漢方薬によって、商品によって、もしくは処方医によって、異なってくることがあります。

そこで、だいたいこのような目安で使用されているという用量をまとめておきます。

体重を目安にする場合

体重計にのる子供

書籍によっても推奨されている量が異なるのですが、

エキス製剤で、成人量が7.5g/日(1包2.5gを1日3回)の場合、
おおむね、1日あたり0.1~0.2g/㎏の範囲が目安とされています。
(ただし成人量7.5g/日を超えない)

つまり、最大0.2g/㎏/日で考えると、

  • 体重10㎏→1日あたり2g
  • 体重20㎏→1日あたり4g
  • 体重30㎏→1日あたり6g

これくらいの量の範囲で使用して問題ないことになります。

なお、成人量が9.0g/日(1包3.0gを1日3回の製剤)の場合
換算すると→小児量は1日量として0.13g~0.24g/kgくらいです。

年齢で考える場合

漢方薬の手引き※としては、年齢に応じて以下のような用量が標準となっています。

年 齢15才以上14才~7才6才~4才3才~2才2才未満3カ月未満
服用量大人量大人の2/3大人の1/2大人の1/3大人の1/4以下服用しないこと
※「一般用漢方処方の手引き」(厚生省薬務局監修)

少し複雑に見えるかもしれません。
およその量で把握しておこうとすれば、

  • 1才→大人の1/4
  • 3才→大人の1/3
  • 5才→大人の1/2
  • 7才~→大人の2/3

くらいが目安になります。

煎じ薬の場合も同様と考えて構いません。

市販の漢方薬を使用する場合は、

  • 保護者の指導監督のもとに服用させてください。
  • 1才未満の乳児には、医師の診療を受けさせることを優先し、やむを得ない場合にのみ服用させてください。

アバウトな用量調整もあり

体重または年齢に応じた用量は、あくまで目安です。

厳密に規定されているわけではなくて、実際には(特に小児科のドクターの処方のときには)、経験的な感覚だったり、論文などを参考にしたり、状況に応じて処方量は変わることがあります。

極端な話、3才の子と7才の子が同じ用量で処方されることもあるかもしれません。
中学生くらいなら大人量で処方されることもあります。

初めて漢方薬を飲むお子さんには、どれくらい飲んでくれるか分からないので、通常よりも少量から試して頂くこともあると思います。

逆に、急性疾患(発熱性疾患)では、常用量の2~3倍(または1日4~5回とか)必要と指示されることもあり得ます。

附子(ブシ)を含む漢方薬の場合

粉薬の薬袋

医療用

通常は上に記した手引きの用量を標準として処方されるわけですが、
構成生薬の中に附子(ブシ)が配合されている漢方薬に関しては、添付文書に以下のような注意書きが追加されています。

小児等には慎重に投与すること

具体的には、八味地黄丸・桂枝加朮附湯・真武湯・大防風湯・牛車腎気丸・麻黄附子細辛湯といった漢方薬です。

ただ、附子という生薬は、どちらかというと新陳代謝が衰えて冷えがある(漢方では陽虚証という)高齢者によく使われる生薬です。

で逆に、小児にはそもそもこれらの漢方薬が使われる自体が稀なことではあります。

ですが過量の服用によって副作用のおこるおそれがありますので注意しておきましょう。

附子による副作用例:舌のしびれ・のぼせ・悪心・動悸など

市販薬

附子を含む漢方薬を小児に使用する場合は、医療用のものでも「慎重に投与」しなければいけませんので、

自由に購入できる市販薬で附子が配合されている漢方薬についてはもっと注意が必要です。

多くの商品の用法用量は次のようになっています。

小児(15歳未満)は服用しないでください。

ただし、同じ漢方薬でも、製品によって服用可能な年齢が異なることがあります。

製品ごとに服用できる年齢に差がある

ダメのポーズをする子供

さて、いろいろな市販の漢方薬をみていますと、
2歳未満でも服用ができる漢方薬がある一方で、

「小児(15歳未満)は服用しないでください」であったり
「8歳未満は服用しないでください」
「5歳未満は服用しないでください」
「2歳未満は服用しないでください」などなど、

製品ごとに制限される年齢がさまざまあります。

この理由としては、その年齢未満で服用した場合に副作用の起こる可能性のある成分を含んでいるから、ということではなく、

ただ単に、そもそもその漢方薬を、その年齢の小児に使用した経験例(症例)が少ないから、という理由が大きいです。

剤形によって用法用量の違いがある

様々な薬

もう一つ気を付けなければいけないのが、
同じメーカーの同じ漢方薬でも、剤形が異なると用法用量が違ってくる可能性があることです。

購入前にはよく確認されてください。

具体例として
抑肝散を使用している「アロパノール」の場合(→メーカーの製品情報ページ

アロパノール内用液

大人(15才以上)1回1本(30mL)を1日3回食前又は食間に服用してください。15才未満は服用しないこと

アロパノール(フィルムコーティング錠)

15才以上1回7錠、7才以上15才未満1回5錠、5才以上7才未満1回4錠。1日3回食前又は食間に服用してください。5才未満は服用しないこと

アロパノール顆粒

15才以上1回1包、7才以上15才未満1回2/3包、4才以上7才未満1回1/2包、2才以上4才未満1回1/3包、2才未満1回1/4包以下。1日3回食間に服用してください。

 

以上のように、

市販薬については、使用できる年齢や、用法用量について比較的細かく設定されている一方で、

専門家が処方する場合の投与量は、症状や漢方薬の種類によってかなりの幅があります。

もし用量用法について疑問点があるときは漢方に詳しい医師や薬剤師に確認されてください。

 

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