【袪風湿散寒薬】~独活・威霊仙・木瓜・徐長卿~

4-(1)  袪風湿散寒薬(きょふうしつさんかんやく)

袪風湿散寒薬は、袪風湿薬のなかで、特に風寒湿痺証に適している薬です。

独活(どくかつ/どっかつ)

山ウドの果実

ウコギ科ウドの根茎

※次の類似生薬とは区別されています。
・ウコギ科ウドの根⇒和羌活(かつての羌活の代用品と使われていたことがある)
・セリ科シシウドの根⇒唐独活(中国の独活)

【性味】辛 苦 温
【帰経】肝 腎 膀胱
【効能】袪風湿 止痛 解表

辛・苦・温の性味をもちます。

辛→風を発散して追い出す
苦→湿を乾かす
温→寒をあたためる

ですから、風寒湿の痺証の適応に合致しています。

①袪風湿+止痛
急性・慢性を問わず、他の生薬との組み合わせによって、様々な痛みの症状に幅広く応用されています。
風寒湿の痛みやシビレが腰や膝などにあって、だるくて痛い、両下肢の力が弱っているなどのとき、当帰や牛膝、桑寄生などと配合されます。例⇒独活寄生湯、大防風湯など
その他、頭痛や顔面痛に用いる清上蠲痛湯、肩こりや五十肩に用いる独活葛根湯などに。

②解表
風寒湿の表証、あるいは、体表の病邪を皮膚から発散させたいときに応用できます。
例⇒十味敗毒湯、荊防敗毒散

独活と羌活の違い
独活と羌活とは併用されることが多いコンビです。
名前も似ていますが、どちらも同じ効能を持っています。
中国最古の薬物書である『神農本草経』の頃は(ただの別称として)区別されていなかったくらいです。
どちらも

  1. 解表散寒の効能によって⇒風寒湿の表証
  2. 袪風勝湿の効能によって⇒風寒湿の痺証

に用いることができます。

・羌活については、1.解表散寒の効能の方が強いので、辛温解表薬に分類されています。風寒湿痺の痛みに用いる場合は、上半身(腕や肩)の症状に向いています。
・独活については、2.袪風勝湿の効能の方が強いので、袪風湿薬に分類されています。風寒湿痺の痛みに用いる場合は、下半身(腰や下肢)の症状に向いています。

威霊仙(いれいせん)

ボタンヅルの花

キンポウゲ科サキシマボタンヅルの地下部(根および根茎)

【性味】辛 鹹 温
【帰経】膀胱
【効能】袪風湿 通経絡 消骨哽

袪風湿の効能は独活とも似ていますが、通経絡(経絡の中の気血の通りを良くする)はたらきがあって、それにより痛みを止める作用に優れています。
上肢・下肢幅広く対応しており、痛み、シビレ、関節の屈伸の不自由なものに用いられます。例⇒二朮湯疎経活血湯

また、鹹の性味は骨を軟化させるとして、魚の骨などが喉にひっかかったときに、これを煎じてゆっくりと少しずつ飲む、という民間療法的なものがあります。
その他、痰湿を消す作用で、痰湿が食道に詰まり食べものが喉を通らずに吐いてしまうような病気(噎膈いっかくという)に使われることがあります。

木瓜(もっか)

カリンの実

バラ科ボケの成熟果実
※日本ではカリン(バラ科)の果実が用いられている。長野県あたりではマルメロのこともカリンと呼んでいるらしいので注意。

【性味】酸 温
【帰経】肝 脾
【効能】舒筋活絡 化湿和胃

舒は、伸展させる、緩やかにするなどの意味です。
酸味は五臓でいうと肝に対応し、肝は筋を主っていますので、筋の緊張をほぐすような作用を示します。
また温性によって経絡の気血の運行を良くして関節の屈伸を改善させます。
よって、筋がこわばって伸ばしたり曲げたりができなくなった症状に用いることができます。例⇒鶏鳴散加茯苓

また化湿和胃の効能で脾胃が調和されるので、激しい嘔吐下痢が原因で、筋肉がつったり、けいれんしたりするものに応用されることがあります。
その他、食欲不振、消化不良などにも良いです。

徐長卿(じょちょうけい)

ガガイモ科スズサイコの地下部(根および根茎)
※徐長卿という名前の由来は、これを薬として使っていたとされる人名から。

【性味】辛 温
【帰経】肝 腎
【効能】袪風 止痛 止痒

日本の製剤には使われていませんが、袪風・止痛の作用は、風湿、寒凝、気滞、血瘀による疼痛に幅広く応用が可能で、関節痛の他、腹痛、歯痛、月経痛、近代では手術後の疼痛や、ガンの疼痛にも使われているようです。
また、湿疹や頑癬(たむし)などの皮膚病の痒みには、内服の他、外用としても使うことができます。

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