逍遙散の「逍遙」とは?
逍遙散の名前の意味について。
逍遙とは、あちこちフラフラと歩き回る様子のことなので、
「逍遙は、訴える症状が様々で、話す悩みの内容が毎回コロコロと変わるような人に使うといい方剤」と説明されることがあります。
しかしもう一つ別の解釈をすれば、
逍遙とは、自由気ままにのんびりと散歩する様子のことだから、
逍遙散を服用することによって、「ストレスに対処できて、伸び伸びと生き生きと、平穏に過ごしていけますように」という願いが感じられる漢方薬だと思います。
出典
『和剤局方』(12世紀)
添付文書上の効能・効果
【薬局製剤】
体力中等度以下で、肩がこり、疲れやすく精神不安などの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの次の諸症:
冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症※、不眠症、神経症
<効能・効果に関連する注意>
血の道症とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状のことです
構成生薬
構成生薬は8種類。
加味逍遙散と混同されないように、あえて「八味逍遙散」と呼ぶこともあります。
逍遙散のはたらき
逍遙散の構成生薬の8つを
おおまかに整理すると、こう分けることができます。
「肝」に作用する生薬:当帰・芍薬・柴胡・薄荷
「脾」に作用する生薬:茯苓・白朮・甘草・生姜
逍遙散には「肝」にはたらく生薬がメインに配合されています。
やはり当帰・芍薬が主薬なので、当帰芍薬散などと同様で、肝血を補い、潤す、補血の剤です。
かつ、当帰には温性の駆瘀血としての作用と、芍薬の痛みを止めるという作用。
そこに柴胡が加わることで精神的な症状にも対応します。
当帰芍薬散と小柴胡湯を合わせた感じと考えてもいいかもしれません。
薄荷は、抑うつ的な気分を発散させたり、ほてりや充血を鎮めたりするのに重要な役割をしています。
いわゆる血の道症の薬として使用されるのは、これらの配合によるものです。
そして逍遙散は、肝だけでなくて、脾にも作用しています。
肝が弱った影響が脾(消化器)にも表れている場合に対応しているわけです。
典型的には、ストレスによる食欲不振です。
食べ物を消化吸収して得られるものによって、気血が生み出されるわけですから、
脾を改善させる生薬を配合することは、結果的に、肝の気血を補い、肝を助けていることにもつながります。
⇒東洋医学における「肝」のはたらき
市販の逍遙散

コメント