【神秘湯の解説】~ストレスが関連して悪化する咳や喘息に使われる漢方薬~

神秘湯(しんぴとう)

リラックスしているときは十分に深呼吸をして空気の出し入れがスムーズに行えます。

しかし強いストレスを受けているときなどは、呼吸が浅くなってきます。

肺にしっかりと空気を納めることができないために、咳が出たり、呼吸がしづらくなったりします。

自律神経系の過緊張状態にともなって、気管支の平滑筋に影響し、咳や喘息を引き起こしている、

要するに、ストレスで悪化する咳、喘息というものがあります。

そのような精神的要素が関連する咳に用いる漢方薬のひとつが、「神秘湯」です。

神秘湯を構成する生薬とその特徴

「神秘湯」という名前

神秘的、という国語辞典の意味からすれば、

「人間の知恵では計り知れないくらい」または「普通の認識や理論を超えて」

そんな、不思議なくらいによく効く薬だなんて、ちょっと自らハードルを高めてしまっているんじゃないかという命名な気もしますが…

他の漢方薬ではみられないような何か特殊な生薬が配合されているというわけではありません。

神秘湯の成分(構成生薬)の特徴

神秘湯の配合生薬は7種類。

  • 麻黄(マオウ)
  • 杏仁(キョウニン)
  • 柴胡(サイコ)
  • 厚朴(コウボク)
  • 陳皮(チンピ)
  • 蘇葉(ソヨウ)
  • 甘草(カンゾウ)

麻黄・杏仁の配合は「麻杏甘石湯」などとも共通ですし、

柴胡・厚朴の配合からは「柴朴湯」(さいぼくとう)の要素が入っている感じもします。

しかし、「神秘湯」のなによりの特徴は、

柴胡・厚朴・陳皮・蘇葉の、ストレスが影響して「気」の流れが悪くなった時に効果のある生薬、つまり「気」を巡らせるための生薬がたくさん入ることです。

そして残り3つの麻黄・杏仁・甘草の方は、麻黄湯から桂枝を除いたもの、または麻杏甘石湯から石膏を除いたものに相当します。

麻黄・杏仁・甘草の3つで「三拗湯」といいます。咳止めのユニットです。

神秘湯の効果の特徴

ストレスや緊張によって滞った気の流れを整える生薬と、

「肺」の機能を整え、強い咳を抑える生薬とが組み合わされています。

自律神経系の緊張を緩めて、気持ちを落ち着かせ、咳を鎮める方剤です。

具体的には、麻黄や厚朴は、気管支平滑筋の緊張を緩めますし、

杏仁や陳皮は、痰を出しやすくする作用があります。

よって神秘湯は、ストレス、気うつなどの神経症が関係しているような(ストレスで悪化する)咳や喘息に応用されます。

例えば人前で話すときに咳が出る人、

咳が出てしまうんじゃないかと不安や恐怖感におそわれやすい人、

神経の過敏な時期にある青少年のぜんそく等。

神秘湯の効能・効果

【ツムラ】【クラシエ】他

小児ぜんそく、気管支ぜんそく、気管支炎

【コタロー】

やや慢性的に経過し、咳嗽発作と共に、呼吸困難を訴えるもの。
気管支炎、気管支喘息。

【薬局製剤】

体力中等度で、せき、喘鳴、息苦しさがあり、たんが少ないものの次の諸症:
小児ぜんそく、気管支ぜんそく、気管支炎

神秘湯の副作用や注意点

一番の注意点は麻黄の配合量が多いことです。

麻黄・杏仁で「肺」のはたらき(宣発と粛降)を改善して呼吸を整えます。

ですから、咳止めとしては、どちらかというと切れ味のいい方剤、と言うこともできますが、

逆に麻黄による副作用(不眠や動悸など)に注意が必要でもあります。胃腸が弱い人も注意してください。

麻杏甘石湯と比べると、石膏が配合されていません。

半夏厚朴湯と比べると、半夏・茯苓・生姜が配合されていません。

ですので、

肺に熱(炎症)があって粘った痰が出るようなときには麻杏甘石湯などが必要ですし、

胃腸が弱くて、痰の量が多かったり、吐き気や悪心を伴う場合は半夏厚朴湯など他の薬が必要です。

(咳や痰がひどいときには、神秘湯と半夏厚朴湯は併用されることがあります)

神秘湯は、慢性的な咳やぜんそくに、比較的長い期間使われることもあります。ですが、症状の改善がないときや、増悪しているときは、漫然と使用していてはいけません。

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