桂枝加厚朴杏仁湯（けいしかこうぼくきょうにんとう）
桂枝湯に厚朴・杏仁を加えたものです。
体力虚弱もしくは胃腸虚弱の人の、咳、ぜんそくに用いられる漢方薬です。
いつもカゼ（感冒）のあとに咳が残りやすい体質の人に適しています。
構成生薬
厚朴と杏仁はともに、平喘作用があり、気を下降させ、咳を鎮める生薬です。
杏仁には去痰作用もあります。
桂枝加厚朴杏仁湯は、桂枝湯に厚朴と杏仁を加えたものですので、
カゼ（感冒）で桂枝湯を用いる状況（表虚証）で、
とくに咳がよく出る場合に用いることができます。
効能効果
医療用エキス製剤（東洋）
身体虚弱なもののせき
薬局製剤
体力虚弱なものの次の諸症：せき、気管支炎、気管支ぜんそく
※エキス製剤は医療用では東洋のみです。ツムラなどにはありません。
市販薬にもエキス製剤はありません。
薬局製剤の場合は、煎じ薬になります。
特徴
ベースが桂枝湯ですので、体力の虚弱な人（虚証）向きの漢方薬です。
もともと咳やぜんそくがある人がカゼをひいたとき、
あるいは、カゼのあとに咳が残っているとき等に適します。
いつも咳が残りやすい人、
とくに夜、布団に入ってから咳がひどくなるという人に用いられています。
甘草が含まれているので、偽アルドステロン症の副作用には注意が必要ですが、
胃腸に負担をかける漢方薬ではないので、
咳の出やすい体質の改善を目的として使われることもあります。
出典
『傷寒論』（３世紀）
喘家には桂枝湯を作り、厚朴杏子を加うるを佳とす。（太陽病上）
⇒日頃から呼吸困難がある人がカゼをひいたときは、桂枝湯を単独で用いるよりも、厚朴と杏仁を加えた方が良い。
太陽病、之を下して微かに喘する者は、表が未だ解せざる故也。桂枝加厚朴杏子湯之を主る。（太陽病中）
⇒太陽病のときに下剤を使用して、咳やかるい喘息を起こしたのは、表証がまだ治っていないためです。このとき桂枝加厚朴杏仁湯を使うと、治っていない表証と、咳が同時に治せます。
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