【活血温経薬】~紅花・桃仁・鶏血藤・沢蘭・五霊脂・降香~

12-(3)  活血温経薬(かっけつうんけいやく)

紅花(こうか)

漢方薬で使用する生薬の紅花(コウカ)

キク科ベニバナの管状花
(をそのまま又は黄色色素の大部分を除いたもの。ときに圧搾して板状としたもの→板紅花)

【性味】辛 温
【帰経】心 肝
【効能】活血通経 袪瘀止痛

辛温性で通経の効能をもち、全身性の瘀血に使用できますし、用量を増やせば破血(内出血など凝集した血液の除去)にもはたらきます。

①活血通経

各種の瘀血証に幅広く応用することができます。
よく桃仁当帰川芎などと使用されます。⇒桃紅四物湯

②袪瘀止痛

瘀血による月経痛、産後の腹痛、腰痛、肩こり、打撲傷の疼痛に適しています。
⇒折衝飲、通導散、芎帰調血飲第一加減
血行を良くして充血を改善するので、清熱薬と一緒に用いて充血や炎症性の症状に応用されることもよくあります。
⇒治頭瘡一方、蒸眼一方、秦艽羌活湯、葛根紅花湯

注意

妊婦には禁忌となりますし、月経過多の際の使用にも注意が必要です。

桃仁(とうにん)

桃の花

バラ科モモなどの成熟種子
※果物として食べている品種のモモや、鑑賞用のモモの種子は生薬には適していません

【性味】苦 甘 平
【帰経】心 肝(肺)大腸
【効能】活血化瘀 潤腸通便

紅花が全身性の瘀血に使われるの対して、桃仁は局在性の瘀血(特に下腹部)によく使用されます。

①活血化瘀

瘀滞を散ずる力が比較的強い生薬です。
血瘀による月経痛、腹腔内腫瘤(子宮筋腫など)の痛みに牡丹皮桂枝と配合したり(⇒桂枝茯苓丸桃核承気湯
腸癰(虫垂炎)に牡丹皮大黄などと配合したり(⇒大黄牡丹皮湯腸癰湯
打撲や捻挫の腫れ、痛みに大黄当帰などと配合したり(⇒千金鶏鳴散)
各種瘀血証に対する方剤に常用されます。

②潤腸通便

油分を多く含むので、腸燥の便秘にも応用されます。
杏仁麻子仁などと併用して用いられます。⇒潤腸湯

その他

杏仁とともに止咳平喘の効能をもち、咳嗽を止めるのに用いられることがあります。

注意

下痢(泥状便)のときや、妊娠中は注意が必要です。
煎じるときは種子を砕いてから用いること。

桃仁と杏仁の違いと共通点について

鶏血藤(けいけっとう)

マメ科ムラサキナツフジ、白花油麻藤などの蔓茎
※茎を切ると赤い汁が出ることが名前の由来

【性味】苦 微甘 温
【帰経】肝
【効能】行血補血 舒筋活絡

活血の効能がありながら、苦甘で温性であり、当帰のように補血作用を合わせもつのが特徴です。
血瘀、血虚、あるいは血虚に血瘀を兼ねるもの、いずれにも適しています。
血虚による月経痛、月経不順、無月経に四物湯と併用することも可能です。
また他の薬との配合によっては、風湿痺または血虚による(慢性の)関節の疼痛、手足のしびれ、関節の曲げ伸ばしができないなどに応用することができます。

沢蘭(たくらん)

シソ科シロネなどの全草

【性味】苦 辛 微温
【帰経】肝 脾
【効能】活血袪瘀 行水消腫

①活血袪瘀
活血の作用は穏やかです。ですが、
辛で散じ、温で通じ、寒でなければ燥でもない。瘀血を散じるけれども正気を傷つけない。
ということで、婦人科の瘀血証(月経痛、月経不順、無月経、産後腹痛など)の常用薬とされています。
あまり寒熱を問わず使用できます。
ただ補益の効能はないので、瘀血がないときには使われません。
外傷の内出血による腫れや痛みに応用されることもあります。

②行水消腫

産後の浮腫(むくみ)などに使用されます。
しかし単独での薬力は強くないので、ほかの利水消腫薬防已など)とともに用いられます。

五霊脂(ごれいし)

ムササビ科の動物の糞便

【性味】苦 甘 温
【帰経】肝
【効能】活血止痛 化瘀止血

胸部や腹部の血瘀による様々な疼痛を治す要薬といわれています。
肝経に入るので、気滞血瘀の胸脇痛、上腹部痛に。
また血瘀による月経痛、下腹部痛に用いられます。⇒失笑散
さらに炒炭すると、瘀血を消すだけじゃなく止血にもはたらき、例えば崩漏(不正性器出血)や、月経過多で紫黒色の血塊や下腹部痛を伴うものに使われます。
煎じるときは包煎(ガーゼなどの袋に入れて煎じる)が良いでしょう。

降香(こうこう)

マメ科Dalbergia adoriferaの根の心材

【性味】辛 温
【帰経】心 肝
【効能】活血散瘀 止血定痛

気滞血瘀による胸脇痛や、打撲傷の痛みや腫張、(外用として)創傷の出血などに用いられます。
近年ではよく丹参などと配合して狭心症の治療にも使われています。⇒冠心Ⅱ号方

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