繰り返す下痢・軟便に、体質から見直す漢方の知恵

“また今日もお腹が…”から、そろそろ卒業しませんか?漢方で、下痢・軟便の悩みを根本から見直しましょう。

下痢・軟便の漢方薬

「毎朝トイレの時間が長くてつらい」
「急な腹痛や便意が心配で外出が不安」
「整腸剤を飲んでいるけど良くならない」
──そんな下痢・軟便の症状に悩まされていませんか?

漢方では、胃腸のはたらきのみに注目するのではなく、冷え・ストレス・湿気・飲食の偏りなど、体全体のバランスの乱れとして捉えます。
あなたの体質に合った漢方で、繰り返す不調を根本から改善していきましょう。

「下痢止め」に頼り続けていませんか?

  • 食後すぐにお腹がゴロゴロと鳴り、急に便意がくる
  • 冷たい飲み物や生ものを摂るとすぐに下してしまう
  • 緊張やストレスがかかると、お腹がゆるくなる
  • 朝に必ず2~3回トイレに行く
  • 旅行や会議などの前に不安になる

これらの症状が慢性化している場合、一時的に止める薬だけでは根本的な改善にはつながりません
大切なのは、「なぜ下痢になるのか?」を体質から見直すことです。

西洋医学と漢方でのアプローチの違い

西洋医学では、整腸剤や止瀉薬、抗菌薬などが処方され、腸内環境や感染症への対応が中心です。
一方、漢方では下痢の背景にある「冷え」「ストレス」「水分代謝の異常」「消化力の低下」といった体の内側の乱れを重視します。

例えば、同じ「下痢」という症状でも、

  • 胃腸のエネルギー(脾気)が不足しているタイプ
  • 冷えや湿気が停滞しているタイプ
  • ストレスで「気の巡り」が乱れているタイプ
  • 熱や炎症がこもっているタイプ

──など、原因や体質が異なれば、使う漢方薬もまったく異なります。

下痢・軟便のタイプ別 体質と処方

下痢・軟便の4タイプ

① 脾胃虚弱タイプ(胃腸虚弱による慢性下痢)

もともと胃腸が弱く、食後にすぐお腹を下す傾向があります。
体力が少なく、疲れるとすぐに下痢になるという方に多く見られます。
顔色が優れず、やせ型で、食欲不振や倦怠感を伴うことも。

対応処方例参苓白朮散じんりょうびゃくじゅつさん啓脾湯けいひとう四君子湯しくんしとう

② 寒湿タイプ(冷え・水分の停滞)

冷たい飲食物、冷房、気温差などで悪化しやすく、水様便や腹部の冷感が特徴です。
手足の冷え、むくみ、重だるさを伴うこともあり、舌苔は白く湿っています。

対応処方例真武湯ふりがな人参湯ふりがな藿香正気散かっこうしょうきさん

③ 肝気犯脾タイプ(ストレスによる下痢)

ストレスや緊張が原因で、お腹が痛くなったり、便意が頻繁になるタイプです。
「便意があるのに出ない」「残便感が続く」など、気の滞りと脾の働きの乱れが特徴です。

対応処方例桂枝加芍薬湯けいしかしゃくやくとう半夏瀉心湯はんげしゃしんとう四逆散しぎゃくさん

④ 湿熱タイプ(炎症・熱こもり型)

脂っこい物や甘い物の摂りすぎで腸に湿熱(ねっとりした熱と湿気)がこもり、悪臭のある下痢や腹痛を起こすタイプです。
舌苔が黄色く厚く、吹き出物や口臭、体のベタつきを伴うことがあります。

対応処方例茵蔯五苓散いんちんごれいさん胃苓湯いれいとう葛根黄連黄芩湯かっこんおうれんおうごんとう五苓散ごれいさん

その他の処方例と適応

補中益気湯ほちゅうえっきとう:慢性の体力低下と胃腸虚弱に

小建中湯しょうけんちゅうとう:小児や高齢者の腹痛・虚弱体質に

防已茯苓湯ぼういぶくりょうとう:冷え・慢性下痢・むくみ・しびれ感を伴うタイプに

柴苓湯さいれいとう:水様性下痢、急性胃腸炎、暑気あたり、食欲不振に

黄芩湯おうごんとう:感染性の下痢、泥状便、発熱・腹痛、裏急後重(しぶり腹)に

など、体質・体調に応じて適した処方をご提案いたします。

下痢・軟便を繰り返さないための養生アドバイス

下痢や軟便は、漢方薬だけでなく、日々の生活習慣や食事の積み重ねによっても改善が期待できます。
特に「冷え」「疲れ」「ストレス」「飲食の偏り」は腸に大きく影響するため、体を内側から守るような暮らしを意識することが大切です。
以下に、今日から実践できる養生法をご紹介します。

生活で気をつけること

  • 冷房や薄着による体の冷えを避けるようにしましょう
  • ストレスをため込まず、リラックスできる時間を確保しましょう
  • 夜更かしを避け、睡眠をしっかりとることが胃腸の修復につながります
  • 暴飲暴食は避け、腹八分目を心がけてください
  • 入浴はぬるめのお湯にゆっくり浸かり、内臓の冷えを防ぎましょう

食事で気をつけること

  • 冷たいビールやジュース、牛乳などは控え、白湯・番茶・麦茶を中心に
  • お粥や雑炊など消化吸収の良い食事を基本に
  • 生野菜や生ものは避け、温野菜・スープに変えて取り入れましょう
  • 脂っこいもの、甘味、乳製品、香辛料、アルコールは控えめに
  • 少量ずつ、回数を分けて摂るのも胃腸に優しい食べ方です
温かい緑茶、紅茶、いちご、うどん、じゃがいも、納豆、にんじん、はちみつ、バナナ、ほうれん草、ヨーグルト、りんご など
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