【重鎮安神薬】~竜骨・磁石・朱砂・琥珀~

14-(1) 重鎮安神薬(じゅうちんあんじんやく)

竜骨(りゅうこつ)

古代(新生代)の大型哺乳動物(馬類、犀類、鹿類、牛類、象類などの原動物)の化石化した骨
主として炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなど
歯牙の化石は「竜歯」という

【性味】甘 渋 平(微寒)
【帰経】心 肝
【効能】鎮心安神 平肝潜陽 収斂固渋

①鎮心安神
心神不寧の動悸、不安、不眠、多夢、驚きやすいなどの症状に、酸棗仁遠志茯苓(茯神)などと用いられます。
特に竜歯は(収斂固渋の効能をもたず)重鎮安神に最も適するとされています。(安神定志丸)
②平肝潜陽
陰虚陽亢に対しては平肝潜陽にはたらきます。
陰虚のときに(甘と渋の性で)陰分を益し、浮かんできてしまう肝陽を潜ませて、肝を安定させます。
肝陽上亢の煩躁、頭痛、ふらつき、めまい、怒りっぽいなどの症状に、牡蛎、菊花、釣藤鈎、白芍などと用いられます。(鎮肝熄風湯)
③収斂固渋
収斂固渋の効能で、様々な「漏れる」症状に対して応用されます。
陽虚・気虚の自汗(ダラダラととまらない汗)、陰虚の盗汗(寝汗)、腎虚の遺精(夢精)、帯下(おりもの)、崩漏(月経過多)、脾虚の下痢など。

いずれの場合も、竜骨と牡蛎はよく一緒に使われます。(桂枝加竜骨牡蛎湯、柴胡加竜骨牡蛎湯
煎じる場合は先煎(成分が抽出されにくいので他の生薬よりも先に煎じておくこと)をします。

磁石(じせき)

天然磁鉄鉱の鉱石(主成分は四酸化三鉄Fe3O4など)

【性味】辛 鹹 寒
【帰経】肝 心 腎
【効能】潜陽安神 聡耳明目 納気平喘

①潜陽安神
竜骨と同様に、重鎮安神薬として、心神不安による動悸、不眠、不安、驚きやすいなどの症状、または陰虚陽亢の煩躁、頭痛、めまい、ふらつきなどに用いられます。
磁石はよく朱砂と一緒に使われます。(→磁朱丸)
②聡耳明目
腎や肝を養う効果を利用して、肝腎陰虚の耳鳴り、難聴、目の乾き、視力低下などに、熟地黄、山薬、山茱萸、五味子などと用いることができます。
③納気平喘
また(質的に重いこともあり)肺気を下に引き降ろすことができる考えられ、腎不納気の喘息(吸気性呼吸困難)に五味子や胡桃肉などと併用して応用されます。
その他
毒性のある朱砂の代用品として用いられていたことがあります。
脾胃を損ないやすいので長期間の服用は避けた方がよいです。

朱砂(しゅしゃ)

硫化水銀HgSを含んでいる天然辰砂鉱石(シナバー)
別名:辰砂、丹砂、赤色硫化水銀、賢者の石など

【性味】甘 寒
【帰経】心
【効能】鎮心安神 清熱解毒

数十年以上前までは日本でも生薬として使用されていたらしい。
有機水銀などと比べると毒性は低いのかもしれませんが、現在日本で薬として使われることは(余程のことでない限り)無いのではないかと思われます。
中薬的には、性質が強い寒性なので、心火亢盛の心煩、不安、不眠、驚悸などに対する要薬とされています。(朱砂安神丸)

琥珀(こはく)

地下に埋没した古代のカエデやマツなどの樹脂が化石化したもの(アンバー)

【性味】甘 平
【帰経】心 肝 膀胱
【効能】鎮惊(驚)安神 活血散瘀 利尿通淋

鎮惊(驚)安神・・
酸棗仁や夜交藤などと配合して心神不寧の動悸、不安、不眠などに。
または朱砂や全蠍などと配合して癲癇あるいは驚風(驚きや恐れによる痙攣)に。
活血散瘀・・
当帰などと配合して血瘀による閉経(無月経)や癥瘕(腹腔内の腫瘤)に。
利尿通淋・・
木通金銭草車前子など適当なものと配合して膀胱湿熱の排尿痛や血尿、尿路結石などに。

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