安神薬(あんじんやく)の概念

14.安神薬

安神薬とは、精神を安(やす)んずる薬、すなわち気落ちを安らかにする作用を有する薬のことです。

精神の鎮静や安定のために用いられます。

安神薬は、重鎮安神薬(じゅうちんあんじんやく)と養心安神薬(ようしんあんじんやく)の2種類に分けられます。

重鎮安神薬は、鉱物などの重量の重い生薬で、主に実証に対して、神経の高ぶりを鎮静させる
養心安神薬は、植物などの生薬で、主に虚証に対して、養うことで精神を安定させる
というように使い分けられます。
またはこれらを併用して効果を高めています。

東洋医学では、
は神を主る」
は疏泄を主る」と考えられることから、
安神薬は、臓腑においては一般的に「心」や「肝」によくはたらきます。

心は神を主る

心は神を蔵し、神志を主る」とされ、
心は精神活動を統括する神志が宿る臓です。
「感じたり考えたり記憶したり判断したり行動にうつしたりする」これらの活動が維持できるのは、心の機能によるものです。
精神状態も心の影響を受けます。
心が蔵する神は、心血によって滋養されていますが、
心血が不足すると、神志(精神活動が)正常にはたらかなくなります。
血の循環を維持させようと心悸(動悸)がする、
正常に「感じたり考えたり記憶したり判断したり行動にうつしたりする」ことが難しくなって
不安になる、落ちつきがない、驚きやすい、忘れっぽい、ひどいときは興奮状態になる、
休むべきときに休めず、不眠、多夢などがみられます。

肝は疏泄を主る

「肝は血を蔵し、疏泄を主る」とされ、精神情緒の安定には重要な臓です。
血に関して、心と肝は協力関係にあります
肝の陰血不足もまた心神を滋養できず、
(陰が陽を抑制できないので)肝陽が亢進し上昇する結果、頭部の熱証や、興奮性が増すことになります。

安神薬の効能

ということで、
精神の鎮静や安定のためには、
心を養うこと、また、陰を養って肝陽を調節することが、治療となります。

重鎮安神薬

重鎮安神薬は、鉱石、化石など(生薬としては)重くて、また性が寒涼性のもので、鎮静にはたらく安神薬です。
陽気の上昇で、神経がたかぶっている煩躁、狂燥、動悸、不眠などを鎮める作用をもちます。
比較的、実証の人に用いられます。

養心安神薬

養心安神薬は、滋潤したり虚を補ったりする植物性の生薬で、精神を安定させます。
陰血の不足による、焦躁、不安、動悸、不眠、多夢などに適します。
比較的、虚証の人に用いられます。

配合

精神の鎮静や安定のために安神薬を用いる際には、実際にはその原因に応じて他の生薬とも併用(配合)して応用されます。
例えば、
虚証で、陰血の不足があれば、滋陰や養血の作用のある薬(麦門冬、当帰など)が、
実証で、ストレスの蓄積によって心火亢盛(神経系の興奮)があれば、清心瀉火の薬(黄連など)が、
虚実挟雑で、肝腎陰虚によって肝陽が上昇しているときは、平肝潜陽の薬(石決明など)が、
一緒に配合されます。

注意点

特に鉱物の生薬(重鎮安神薬)については、(あまり一般の漢方薬には使われてはいませんが、)胃を傷めることがないよう、脾胃虚の人は慎重に(脾胃虚じゃなくても長期の服用は避けて)用いなければいけません。

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