【葛根湯(かっこんとう)のキホン的なコトの解説】

葛根湯の解説をします漢方薬の解説

葛根湯(かっこんとう):KT

カゼの常備薬として活用される代表的な漢方薬ですね。

風邪薬のイメージが強いですが、実はカゼ以外の適応範囲も広いです。

生薬構成は、桂枝湯(けいしとう)に葛根(かっこん)と麻黄(まおう)を加え、桂枝(けいし)と芍薬(しゃくやく)を減量したものです。

葛根と麻黄が追加されているのがポイント!

それによって、特に後背部にこわばりをともなう症状に用いられることになります。 

「葛根湯」=「桂枝湯」 + 葛根・麻黄
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葛根湯の成分(構成している生薬)

  • 葛根(カッコン)
  • 麻黄(マオウ)
  • 桂枝(ケイシ)または桂皮(ケイヒ)
  • 芍薬(シャクヤク)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 生姜(ショウキョウ)
  • 大棗(タイソウ)

桂枝湯の5種類の生薬に、葛根と麻黄が加わり、合計で7種類の生薬です。

(→桂枝と桂皮の違いとは

葛根湯の効能・適応症状

  • 自然発汗がないカゼの初期の症状(頭痛、発熱、悪寒など)
  • 感冒・鼻かぜ・下痢を伴うカゼ(胃腸型感冒)
  • 副鼻腔炎(の急性期)・アレルギー性鼻炎・花粉症・鼻閉(鼻づまり)
  • 炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、リンパ腺炎、乳腺炎、乳汁分泌不全症)
  • 頭痛(筋緊張性頭痛、片頭痛)項背部や肩のこり
  • 上半身の神経痛・寝ちがい・筋肉痛・肩関節周囲炎・五十肩・首の痛み
  • じんましん・湿疹
  • 下痢・腹痛

添付文書上での効能効果(医療用)

ツムラ

自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるものの次の諸症:
感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん

クラシエ・オースギ他

感冒、鼻かぜ、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛み

コタロー

頭痛、発熱、悪寒がして、自然発汗がなく、項、肩、背などがこるもの、あるいは下痢するもの。感冒、鼻かぜ、蓄膿症、扁桃腺炎、結膜炎、乳腺炎、湿疹、蕁麻疹、肩こり、神経痛、偏頭痛。

三和

比較的体力があって頭痛・発熱・悪寒がして自然の発汗がなく肩や背などがこるものの次の諸症:
感冒・鼻かぜ・へんとう腺炎・中耳炎・蓄のう症・結膜炎・乳腺炎・肩こり・腕神経痛。

葛根湯の使用のポイント

カゼ(感冒)のときは「無汗」と「項背部のこり」

 

桂枝湯 ⇒ 自然な発汗を促す
葛根湯 ⇒ 強制的に発汗させる

桂枝と麻黄が合わさるので、比較的、発汗作用が強い方剤です。

麻黄が入らない桂枝湯(けいしとう)が自然な発汗を促すのに対して、桂枝と麻黄が一緒に使われる葛根湯は、強制的に発汗させる漢方薬となります。

それゆえ熱が出始めたときの発汗剤として用いられます。

汗のまだ出ていない発熱で、悪寒(さむけ)を同時にともなうカゼのときに有効です。

服用後は、風にあたったり体を冷やさないようにしましょう。

体表を温めて発汗させる目的がありますので、基本的には体を冷やす解熱鎮痛剤との併用は避けた方が良いです。

顆粒や細粒状のものは、可能であればお湯に溶かして服用してください。その方が効果がでやすいです。

葛根が項背部のこりをほぐす作用がありますので、肩のコリや、後頭部の頭痛などで、上半身のこわばりを伴う症状に特に適しています。

(肩こりや頭痛に用いる場合は発熱がなくても使用できます)

副鼻腔炎(蓄膿症)に対しては、葛根湯に川芎と辛夷を加えた、「葛根湯加川芎辛夷」の方がよく利用されます。

葛根湯の副作用・注意点

葛根湯を服用する際に注意してほしいこと

発汗作用が強すぎることがあるので、もともと汗の出やすい人には使えません。

カゼに使う場合、「風邪かも」と思ったタイミングでの早めの服用が効果的であり、何日間もダラダラと葛根湯を服用し続けるということは通常は考えられません。

カゼ以外に使う場合は、頓服で効果があることもあれば、長期間の服用が必要なこともあります。

長期に服用する時は、麻黄による悪心、胃もたれ、食欲不振、または血圧上昇、不眠、動悸、排尿障害などの副作用に注意して下さい。

麻黄のエフェドリンによる作用と副作用

麻黄には交感神経興奮作用があります。眠くなりにくい風邪薬と宣伝されることがありますが、使いすぎると逆に眠れなくなることがあります

麻黄の副作用により葛根湯が使えない場合、麻黄が含まれていない「桂枝加葛根湯」(けいしかかっこんとう)を使ってください。

後背部のコリを伴わない頭痛(前頭部の頭痛や片頭痛)への効果はあまり期待できません。

適応範囲は広いですが、漢方薬と言えど麻黄が含まれていることを意識して、体への負担も考慮し、適切に使用して下さい。

用法用量や使用上の注意は、医師・薬剤師の指示、または添付文書の説明を守ってください。

カゼ以外の使用に関して

葛根湯はカゼ以外にも使われます。

カゼ以外に使用する場合でも、基本的には、「悪寒・発熱あり、汗は出ていない」という条件は重要です。

つまり

カゼの初期で 「悪寒・発熱あり、汗は出ていない」

はもちろんのこと、 同様に、

胃腸炎の下痢の初期で 「悪寒・発熱あり、汗は出ていない」

乳腺炎の初期で 「悪寒・発熱あり、汗は出ていない」

ということ。

ただし、肩こり等には少し例外的な使用をする場合もあり、使用量や使い方に注意が必要です。

葛根湯の出典

『傷寒論』・『金匱要略』
3世紀に書かれた書物には、このように載っています。

太陽病、項背強ばること几几、汗無く、悪風するは、葛根湯之を主る

傷寒論 太陽病中篇第31条

太陽と陽明の合病の者は、必ず自ら下痢す、葛根湯之を主る

傷寒論 太陽病中篇第32条

太陽病、汗無く、而るに小便反て少なく、気上りて胸を衝き、口噤して語るを得ざるは、剛痙を作さんと欲す、葛根湯之を主る

金匱要略 痙湿喝病ノ篇

 

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