「葛根湯」のキホン

1番漢方薬の解説

葛根湯(かっこんとう):KT

カゼの常備薬として活用される代表的な漢方薬です。

風邪薬のイメージが強いですが、カゼ以外の適応範囲も広いです。

生薬構成は、桂枝湯(けいしとう)に葛根と麻黄を加え、桂枝と芍薬を減量した処方です。

葛根と麻黄が追加されているわけですので、表寒・表実証で、特に後背部にこわばりをともなう症状に用いられます。  

葛根湯の出典

傷寒論・金匱要略(3世紀)

太陽病、項背強ばること几几、汗無く、悪風するは、葛根湯之を主る

傷寒論 太陽病中篇第31条

太陽と陽明の合病の者は、必ず自ら下痢す、葛根湯之を主る

傷寒論 太陽病中篇第32条

太陽病、汗無く、而るに小便反て少なく、気上りて胸を衝き、口噤して語るを得ざるは、剛痙を作さんと欲す、葛根湯之を主る

金匱要略 痙湿喝病ノ篇

葛根湯の成分(構成している生薬)

  • 葛根(カッコン)
  • 麻黄(マオウ)
  • 桂枝(ケイシ)または桂皮(ケイヒ)
  • 芍薬(シャクヤク)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 生姜(ショウキョウ)
  • 大棗(タイソウ)

葛根湯の効能・適応症状

自然発汗がないカゼの初期の症状(頭痛、発熱、悪寒など)
感冒・鼻かぜ・下痢を伴うカゼ(胃腸型感冒)・ 副鼻腔炎(の急性期)・アレルギー性鼻炎・花粉症・鼻閉(鼻づまり)
炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、リンパ腺炎、乳腺炎、乳汁分泌不全症)
頭痛(筋緊張性頭痛、片頭痛)・項背部や肩のこり・上半身の神経痛・寝ちがい・筋肉痛・肩関節周囲炎・五十肩・首の痛み
じんましん・湿疹
下痢・腹痛

注意

上記の症状に応用されることがあるという意味であり、すべての症状が葛根湯で治せる、ということではありません。 保険適応外の症状を含みます。

葛根湯の使用のポイント

桂枝と麻黄が合わさるので、発汗作用が強い方剤です。

熱性疾患の初期に発汗剤として用います。

汗の出ない発熱で、悪寒(さむけ)を同時にともなうカゼに用います。

服用後は、風にあたったり体を冷やさないようにしましょう。

体表を温めて発汗させる目的がありますので、基本的には体を冷やす解熱鎮痛剤との併用は避けた方が良いです。

顆粒や細粒状のものは、可能であればお湯に溶かして服用して下さい。

その他、項背部のこり、後頭部の頭痛などで、上半身のこわばりを伴う症状に有効です。

この場合は発熱がなくても使用できます。 副鼻腔炎(蓄膿症)に対しては、葛根湯に川芎と辛夷を加えた、「葛根湯加川芎辛夷」の方がよく利用されます。

葛根湯の副作用・注意点

汗の出やすい表虚証の人は使えません。

カゼに使う場合は、「風邪かも」と思ったタイミングでの早めの服用が効果的であり、何日間もダラダラと葛根湯を服用し続けるということは通常は考えられません。

カゼ以外に使う場合は、頓服で効果があることもあれば、長期間の服用が必要なこともあります。

長期に服用する時は、麻黄による悪心、胃もたれ、食欲不振、または血圧上昇、不眠、動悸、排尿障害などの副作用に注意して下さい。

麻黄には交感神経興奮作用があります。眠くなりにくい風邪薬と宣伝されることがありますが、使いすぎると逆に眠れなくなります。

麻黄の副作用により葛根湯が使えない場合、麻黄が含まれていない「桂枝加葛根湯」(けいしかかっこんとう)を使ってください(東洋など)。

後背部のコリを伴わない頭痛(前頭部の頭痛や片頭痛)への効果はあまり期待できません。

適応範囲は広いですが、漢方薬と言えど麻黄剤ですので、体への負担も考慮し、適切に使用して下さい。

用法用量や使用上の注意は、医師・薬剤師の指示、または添付文書の説明を守ってください。

補足

葛根湯はカゼ以外にも使われます。

カゼ以外に使用する場合でも、基本的には、風寒表証の無汗(悪寒・発熱あり、汗は出ていない)という条件は重要です。

つまり

カゼの初期で風寒表証の無汗

はもちろんのこと、 同様に、

胃腸炎の下痢の初期で風寒表証の無汗

乳腺炎の初期で風寒表証の無汗

ということ。

ただし、肩こり等には少し例外的な使用をする場合もあり、使用量や使い方に注意が必要です。

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