胃苓湯(いれいとう)の解説
胃苓湯は、平胃散と五苓散を合わせたものです。
食べ過ぎと飲みすぎによって、胃腸の調子をこわして、水っぽい下痢をしているようなときは、
平胃散だけでは不十分で、五苓散がよくプラスされます。
「平胃散」+「五苓散」⇒「胃苓湯」です。
構成生薬
※某医療用エキス製剤のものには芍薬は含まれません
平胃散だけでも消化器の機能を整え、下痢を抑える効果があります。
そこに五苓散を併用することによってさらに便の水分を減らす効果をねらっています。
五苓散は利水剤ですが、ここでメインに期待していることは、
白朮や茯苓で、消化管内の過剰な水分を、体の血管の方へ引き込むことです。
そして、引き込んだ水を、猪苓・沢瀉で、尿の方へもっていきます。
ですので五苓散は、利尿というよりも、まず下痢の軽減と、そして下痢による脱水を予防する目的です。
効能効果
医療用エキス製剤(ツムラ)
水瀉性の下痢、嘔吐があり、口渇、尿量減少を伴う次の諸症:
食あたり、暑気あたり、冷え腹、急性胃腸炎、腹痛
薬局製剤
体力中等度で、水様性の下痢、嘔吐があり、口渇、尿量減少を伴うものの次の諸症:
食あたり、暑気あたり、冷え腹、急性胃腸炎、腹痛
「口渇・尿量減少を伴うもの」というのは、消化管の水分が水様便として出ていっているせいで、口を潤したり、尿へいく水分が足りなくなっていると考えられます。
これに対応するのが五苓散なので、
口渇や尿量減少を伴わない、軽症の下痢であれば、平胃散でもいいかもしれません。
ポイント
胃苓湯は、消化不良の水様性下痢に用いられる漢方薬です。
平素から胃腸が弱くていつも下痢をしている人の薬ではなくて、
食べ過ぎたり飲み過ぎたり、とくに冷たいものを摂りすぎで、お腹をこわし、下痢をしているときです。
頓服でも構いません。
食あたりや胃腸炎で処方されることもありますが、胃苓湯だけでは抗菌作用は期待できません。
腹痛をともなうときは、芍薬が加味されている製品の方が適します。
冷たいもの、油もの、アルコール類の摂取は、控えましょう。
出典
『万病回春』(16世紀)
(または『古今医鑑』)
治脾胃不和、腹痛泄瀉、水穀不化、陰陽不分。
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