【清虚熱薬】~地骨皮・青蒿~

清虚熱薬

2-(5)  清虚熱薬(せいきょねつやく)

清虚熱薬は、裏熱の症状を実熱と虚熱に分けた場合に、主に虚熱に用いられる薬が分類されます。

虚熱とは、陰虚(陰の不足)にともなう熱証(陰虚内熱)です。

虚熱の症状の特徴は…

  • ほてり、持続的な微熱
  • 骨蒸潮熱(身体の芯から蒸されるように感じる熱感が、午後から夜間に増強する)
  • 五心煩熱(胸部、手のひら、足の裏、の不快な熱感)
  • 寝汗、不眠
  • 喉や唇の乾燥、舌が紅い、舌苔が少ない、脈細数、など

急性の発熱性疾患よりも、慢性病のあとに生じることが多い症状です。

虚熱を治す方剤には、
清虚熱の効果を持つ清熱薬知母黄柏など)
陰を補う効果をもつ滋陰薬生地黄麦門冬など)
熱証が強い場合には清熱の作用が強いもの(黄連山梔子牡丹皮など)が一緒に配合されます。

地骨皮(じこっぴ)

地骨皮(ジコッピ)
ナス科クコの根皮
※果実(クコの実)の方は、生薬名は枸杞子となります

【性味】甘 寒
【帰経】肺 肝 腎
【効能】涼血除蒸 清泄肺熱(清肺降下)

①清虚熱
虚熱を清する効果に優れており、陰虚による骨蒸潮熱、寝汗などに適しています。
胸部の煩熱や、手のひら・足の裏にだけ熱を感じるなどの症状にも使われます。
例⇒清心蓮子飲

②清泄肺熱
特に肺熱を清する効果があるので、(寝汗などをともなう)肺熱による咳嗽に応用されます。
例⇒滋陰至宝湯

③その他
血熱を清する効能(涼血)により、血熱による出血(喀血・吐血など)に、
また、腎陰虚で虚火が上炎したことで起こる歯痛に用いることができます

青蒿(せいこう)

クソニンジン

キク科カワラニンジン、クソニンジンなどの全草

【性味】苦 (辛) 寒
【帰経】肝 胆
【効能】退虚熱 涼血 截瘧(せつぎゃく) 解暑
  • 虚熱を清する効能は、地骨皮と同様。
  • 涼血の作用により、温熱病が長引いて陰液が消耗した際の夜熱早涼(夜間に熱が出て朝に下がる)、心煩、不眠などにも用いられます。
  • その他として、瘧疾(マラリアの周期的発熱)に有効であることが知られています。(※近代には青蒿から分離されたアーテミシニンから抗マラリア薬が開発されています)
  • 薬膳的には、夏バテで、食欲がない、身体が熱い、頭がぼーっとするなどのときに、西瓜翠衣(スイカの皮に近い緑色の部分)や緑豆などのように活用できます。

 

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