【小承気湯】の解説

お腹の調子が悪い女性のイラスト

小承気湯(しょうじょうきとう)

承気湯類のひとつです。

大柴胡湯に小柴胡湯、大建中湯に小建中湯、大青竜湯に小青竜湯があるように、

大承気湯があればやはり小承気湯があります。

「大〇〇湯」という名前の漢方薬は作用が強そうなイメージではありますが、
決して「小〇〇湯」の作用は弱いというわけではなくて、「大〇〇湯」に比べれば弱めだというくらいです。

「大〇〇湯」が実証向き、「小〇〇湯」は虚証向きとは限りませんので気をつけてください。

小承気湯に関しても、どちらかというと、虚実中等度(体力中くらい)、またはやや実証向きの漢方薬です。

小承気湯の医療用エキス製剤はありません。

ただし、大承気湯はもちろん、麻子仁丸ましにんがんもこの小承気湯がベースになっています。

出典

『傷寒論』(3世紀)

構成生薬

※大黄の量に対して、厚朴と枳実の量を多くしたものを「厚朴三物湯」といいます(『金匱要略』)

なお、小承気湯に、芒硝を加えたものが大承気湯(だいじょうきとう)で、
小承気湯に、麻子仁・杏仁・芍薬を加えると麻子仁丸(ましにんがん)になります。

効能・適応症状

  • 便秘、肥満体質の便秘、術後の便秘
  • 腹満、過食後の嘔吐・下痢
  • 食あたり、食中毒

作用のポイント

3つの生薬からならシンプルな構成の処方です。

大黄は瀉下薬しゃげやく

ですが枳実と厚朴はともに理気薬りきやくです。つまり「気」の動きを改善させる薬がメインです。

よって、便秘薬として用いるというよりも、お腹(胃や腸)に停滞している「気」があるので、それを動かして、大黄の瀉下に従い、下方向に出してあげる作用を期待しています。

お腹にものが溜まっている感じがする、お腹が詰まった感じがする、お腹が張った感じがする、というものを、便と一緒に出して、スッキリさせる薬となります。

張満が強いときは、厚朴の量が多い「厚朴三物湯」の方が適します。

副作用・注意点

基本的に長期に服用する薬ではありません。便が出てお腹がスッキリすれば、中止します。

腹部膨満感や便秘のないときに服用すると、腹痛を起こすことがあります。

通常の慢性的な便秘に使うには、作用が強すぎる場合もありますので注意してください。瀉下効果は便秘薬の中では服用後比較的早く(数時間くらいで)現れることがあります。

便秘やそれに伴う腹部の膨満に用いられる「承気湯類」ですが、瀉下薬として用いるときの作用の強さは一般に、調胃承気湯<小承気湯<大承気湯の順です。

(便が乾燥していて硬い、または口や舌が乾燥しているときには、芒硝を加えた大承気湯が用いられます。)

大黄や枳実が含まれますので妊娠中の服用は注意してください。

 

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