【調胃承気湯】~構成生薬、適応症の特徴、使用上の注意点の解説~

調胃承気湯(ちょういじょうきとう)

「○○承気湯」と名前がつく漢方薬類のひとつ。

大黄甘草湯」(だいおうかんぞうとう)に芒硝(ぼうしょう)という、鉱物性の生薬が加わったものです。

その芒硝によって「酸化マグネシウム」(カマグ)などと同じような、塩類下剤としての効果が期待されます。

腸内で水分を保持しますので、便が軟らかくなる効果があります。また便の容積が増大することで腸に刺激が生まれ、排便を助けます。

「〇〇承気湯」と名の付く漢方薬の中では、瀉下作用がもっとも穏やかなものです。

緩下剤としての基本処方になります。

構成生薬

  • 大黄(ダイオウ)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 芒硝(ボウショウ) ※無水芒硝または乾燥硫酸ナトリウム

※芒硝として硫酸マグネシウムが使われることもあります。

大黄甘草湯に芒硝が加わったものですが、大黄:甘草の割合は4:1→2:1へ、大黄甘草湯に比べると甘草の比重が増します。

大黄・芒硝の清熱作用によって腸内の熱を排泄し、

甘草は、大黄・芒硝による瀉下作用を緩和しながら、胃腸を保護し、また潤いをつけます。

調胃」という言葉からも分かるように、胃腸の働きを調える目的が主であり、プラス軽い瀉下作用をもつ、というイメージ。

「〇〇承気湯」と名の付く漢方薬の中では、瀉下作用がもっとも穏やかのです。

現在、芒硝の多くは天然の鉱物ではなくて、代わりにその主成分と考えられる「硫酸ナトリウム」が主に用いられています。

昔の芒硝は「硫酸マグネシウム」だったとも考えられています。(正倉院に残る芒硝が「硫酸マグネシウム」のため)

いずれにしても「酸化マグネシウム」(カマグ)などと同じような、塩類下剤としての効果が期待されます。

腸内で水分を保持しますので、便が軟らかくなる効果があります。また便の容積が増大することで腸に刺激が生まれ、排便を助けます。

ちなみに、調胃承気湯の甘草を抜いて、枳実・厚朴に変えると、大承気湯(だいじょうきとう)になります。

効能・適応症状

  • 便秘、硬い(コロコロ)便、残便感
  • 過食による急性胃炎(便秘をともなうもの)
  • (便秘にともなう)頭重・頭痛・歯痛・のぼせ
  • (便秘にともなう)腹部膨満・食欲不振・腸内異常発酵
  • (便秘によると思われる)にきびや吹き出物・痔・湿疹・皮膚炎

効能の補足説明

大黄甘草湯」よりも、便を軟らかくする効果を増して、便を出しやすくした処方です。

一般的な便秘薬として用いることができます。

便秘の漢方と言えば「大黄甘草湯」がメジャーですが、穏やかな作用を求める場合は「調胃承気湯」の方が適します。

辛いものや油ものなどの食べ過ぎ、またはストレスにより、胃腸に熱がこもり、便が乾燥し硬くなって起こる便秘(コロコロ便)によく適します。

効果の出方には個人差がありますので、少量から開始し、症状に応じて用法・用量を調節してください。

副作用・注意点

基本は、頓服として用いて、便が出れば中止してください。(長期に服用しても体質改善の効果は期待できません

高齢者や胃腸の弱い人では腹痛、下痢を起こすことがあります。高齢者の便秘、慢性の便秘で服用するなら、麻子仁丸(ましにんがん)や潤腸湯(じゅんちょうとう)なども検討してください。

大黄も芒硝も配合されており、妊娠中の服用はできるだけ控えてください。

食塩やナトリウムの摂取制限が必要と言われている方、腎障害のある方は、注意が必要なこともあるので医師に相談してから服用してください。

お腹を冷やしているときには適しません。

大黄の成分によって、尿の色が、オレンジ色~赤色っぽくに見えることがあります。

本来の調胃承気湯の使い方について

調胃承気湯は、その構成をみれば、大黄甘草湯に芒硝を加えたものに相当しますので、分かりやすくそのように説明されることが多いのですが、調胃承気湯の出典が『傷寒論』(大黄甘草湯が『金匱要略』)なので、普通に考えれば違和感があると思います。

正確には、大黄甘草湯に芒硝を加えて調胃承気湯という処方を作ったのではなく、実は『傷寒論』の割とはじめの方に調胃承気湯の方が先に登場します。

というのは、急性の熱性疾患の治療において、適切な治療がなされなかったときの症状の過程の中で、胃熱が生じているときに用いられている方剤です。

つまり、便秘を治すために考えられた方剤でありません

ということで本来は便秘というよりも、胃熱(消化管の燥熱)に対する方剤ととらえることができます。

例えば、肉類などを食べた後に胃もたれを起こし、お腹が張って吐き気がするような場合、胃腸の働きを調える目的で、もしくは、便秘ではないけれど便が出ればスッキリしそうだというときに、平胃散などに調胃承気湯を合わせて用いる、というようなこともあり得ます。

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