理気薬(りきやく)の概念

8.理気薬とは

理気薬は、行気薬(こうきやく)とも呼ばれます。

理気薬とは「気を巡らせる薬」であり気滞きたい気逆きぎゃくに使われる、

と一般的にはよく言われますが、

ここではもう少し詳しくその作用についてまとめておきます。

気の運動

理気薬の作用は、気機きき疏達そたつさせることです。

分かりやすく言うと、気機とは「気」の運動(巡り)のことであり、

理気とは気の運動をスムーズにさせることです。

気の運動は4つに分けられます。

しょう↑(下から上)・↓こう↓(上から下)
しゅつ→(内から外)・→にゅう←(外から内)

です。

臓器のはたらきで具体的にみると

宣発せんぱつ【出】と粛降しゅくこう【入】(いわゆる呼吸)
降濁こうだく【降】と昇清しょうせい【昇】(いわゆる消化吸収)

などが当てはまります。

また、気機は疏泄そせつ機能(いわゆる自律神経系のはたらき)により調節されています。

ですので、
気の運動のバランスが乱れていることで気滞や気逆などの症状が起こるわけですが、

気機の失調の影響は、臓腑で言えば、主に、肺・脾・胃・肝にあらわれます。

そして、気機の失調を改善する薬である理気薬は、主にこれらの臓腑にはたらきます。

肺の宣発と粛降についてはこちら

適応症状

では、脾胃・肺・肝での気滞や気逆の症状、つまり理気薬の対象になる具体的な症状について。

脾:脾胃気滞証

腹部の膨満感・悪心・嘔吐・食欲不振・呑酸・ゲップ・便秘もしくは泥状のスッキリしない軟便など

肝:肝気うっ滞証

胸腹部の脹満または脹痛(脹って苦しい)・イライラ(怒りっぽい)・ため息(憂鬱)・女性では月経痛や月経不順など

肺:肺気壅滞証(「壅」はふさぐ・さえぎるという意味)

咳・呼吸困難(息苦しい)・胸悶(胸苦しい)など

脾胃は気滞きたい・肝気は鬱滞うったい・肺気は壅滞ようたいというニュアンスの違いはありますが、いずれも気の運動(巡り)が滞って、または流れの調和が失われたことによって、本来の臓腑の機能が影響を受けて乱れている状態です。

理気薬の性質

理気薬の性味は、「辛・苦・温」のものが多いです。(一部、寒性の薬もあります)
そして、芳香など独特の良い香りがあります。

辛温の性は気を発散させ、苦味は気を下降させます。
香りもまた気を巡らせます。

性質的にも理気薬は、気逆や気滞に適しています。

 

一方で、気滞や気逆を起こすということは、その原因となるもの、気の運動をふさぐもの、さえぎっているものがあるはずです。

何か余計なものが存在するじつタイプです。

辛温の薬で、気を上げたり下げたり巡らせたりしすぎると、
もともと気虚や陰虚などのきょのタイプの方は、消耗してきてしまうおそれもあります。

慎重に用いなければいけません。

通常は気滞や気逆の原因に応じた対処をするために、適切な生薬を配合して用いられます。

配合の特徴

実際に理気薬を用いるときには、
気滞や気逆とそれに伴う症状、または、気滞や気逆を起こしている原因に応じて、必要な薬が配合されます。例として・・・

  • 脾胃気滞の場合

食積には消導薬山査子など)
寒湿には温中燥湿薬(蒼朮など)
湿熱には清熱燥湿薬黄連など)

  • 肝気鬱滞の場合

血瘀には活血化瘀薬川芎など)
血虚には養肝柔肝薬(白芍など)
脾虚には健脾薬(白朮など)

  • 肺気壅滞の場合

表証には解表薬麻黄など)
痰には袪痰薬(半夏など)

例えば「逍遙散」であれば、疏肝理気の柴胡を主薬としますが、それがメインではなく、肝血を養う当帰芍薬を配合し、また白朮茯苓などを配合して脾(消化機能)もフォローしている、という具合です。

具体的に、陳皮や枳実など代表的な理気薬それぞれのまとめはこちら

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