活血化瘀薬(かっけつかおやく)の概念

12.活血化瘀薬

活血化瘀薬かっけつかおやくとは、瘀血おけつを取り去る、血管をキレイにして血液の流れをスムーズにする、血液の循環を促進する、といった効能を主とする生薬です。

活血化瘀薬はまた「活血袪瘀薬かっけつきょおやく」ともいいますが、どちらも略して「活血薬かっけつやく」と称します。

特に活血作用の強いものを「活血逐瘀薬かっけつちくおやく」とか「破血薬はけつやく」と表現することもあります。

また、日本漢方ではこれらを総称して一般的に「駆瘀血薬」(くおけつやく)と呼びます。

瘀血証

活血化瘀薬の対象となる症状は、瘀血証おけつしょうといいます。

内科、外科、婦人科など様々な症状でよくみられます。

代表的な症状は、以下のものです。

  • 痛みがある(⇒瘀血による痛みの特徴
  • 腫塊(腫れ物)ができる
  • 出血に血の塊が混じる
  • 皮膚、粘膜、舌などが紫色になる
  • 渋脈(じゅうみゃく)

瘀血と血瘀の違い

瘀血(おけつ)と似た言葉に、血瘀(けつお)があります。
厳密に2つの言葉を分けるとすれば、↓の違いです。

瘀血:(二次的な)病因
血瘀:病理状態

要するに
瘀血は、(病的な産物で、)停滞している、または流れが悪くなっている血液をさします。

一方の血瘀は、血液の停滞がある病態をさす、という違いになります。

例えば「内出血」そのものなどは、停滞している血液ですのでとても分かりやすい”瘀血”です。

病態の方は、もし「血液に関わる病変の例」を挙げるという場合があれば「血虚・血熱・血瘀・…云々」と書かれるでしょう。

ですが現代的には一般的に「血の巡りが悪いこと」「血液の流れが滞った状態」という意味合いで「瘀血」が使われています。「ドロドロの血液」をイメージして使うこともあるかもしれませんが。

「次の項目が当てはまる人は瘀血タイプです」とか「瘀血体質の人に使われる漢方薬です」とか
「瘀血になる」と言ったり「瘀血がある」と言ったり、
「微小循環障害のこと」と説明されたり、
病理産物でも病態でもどちらの意味でも通じる、抽象的な言葉で理解されています。

実際のところ、「瘀血」と「血瘀」を厳密に区別したところで、
これらは当然お互いに影響し合っているわけですし、
また、活血化瘀薬はどちらを改善するのかというとやはり両方ですので、
瘀血と血瘀をひとまとめの概念でとらえても、臨床的にはあまり問題にはならないでしょう。

むしろ、血瘀だったとしても分かりやすく伝えるためにあえて瘀血と言っている場合も(このサイト内でも)あると思います。ただし、二つの言葉をきちんと使い分けられている状況もあるかと思いますので、違いを知っていればもしかしたら役に立つかもしれません。

活血薬の特徴

①瘀血を消散させる、血行を促進させるという目的から、活血化瘀薬の多くは「辛・温」の性味をもつ生薬です。

②中医学の「通じざればすなわち痛む」「通じると痛みはすなわち無くなる」という考え方があるように、
瘀血で痛みがあるものに対して、活血薬で通じさせて痛みをとる(止痛)という効能を合わせもちます

③また多くの活血薬は「通経つうけい」に働き、月経不順や月経痛にも応用されます。ですが、妊娠中の使用には注意が必要です。

④「血」は「気」と密接な関係にあります。
血液が各所を巡行できるのは、気の推し進める作用があるからですし、
気が各臓腑の機能を維持させているから血液が運行できているとも考えられます。
つまり、瘀血(血瘀)の治療には、活血薬の応用のみならず、気虚や気滞を改善する、または臓腑の機能を調節する等も同時に考慮しなければいけません。
駆瘀血剤とよばれる漢方薬が、活血薬だけで構成されているわけではないのはそのためです。

活血薬の分類

案外と忘れられがちなこと(特に日本漢方で)は、瘀血は”二次的な“病理産物でもあるということです。

何か別の原因があって、その結果として瘀血ができて、そしてその影響で何かしらの症状があるわけです。

瘀血があって、かつ、冷えがあったり、またはストレスがあったり…というように並列で説明されることもありますが、
例えば、冷えやストレスなどが、血瘀を引き起こしている原因であるとも考えられます。

瘀血を引き起こす原因についてはこちらでまとめています。

ですので、たんに瘀血を治す活血薬というだけでなく、その原因に応じてより適した活血薬を選択した方が良いことになります。

それぞれの生薬の違いがおおまかに分かるように、日本漢方のように「駆瘀血薬」としてまとめてしまうのではなくて、(次ページ以降で)中薬的効能で活血薬を整理しておきます。

活血薬は、その効能の特徴によって、だいたい3つに分類することができます。

  1. 活血行気薬へ(気滞⇒瘀血の場合)
  2. 活血涼血薬へ(血熱⇒瘀血の場合)
  3. 活血温経薬へ(血寒⇒瘀血の場合)

配合ルール

当然ながら、瘀血の原因や病態の分析に従って、適切な活血薬が使われるのと同時に、それと一緒に配合される生薬も異なってきます。

寒凝の場合、温経散寒薬(桂枝など)
熱壅の場合、清熱涼血薬牡丹皮など)または清熱解毒薬
気滞の場合、理気薬
気虚の場合、補気薬
風湿痺証の場合、袪風湿薬
癥瘕(腫塊)の場合、軟堅散結薬

などが実際の方剤にはともに配合されてきます。

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