【止血薬】~艾葉・三七/田七~

11.止血薬(しけつやく)

止血薬に分類されるのは、出血を止めるのを主な効能とする生薬です。
出血は血虚証を引き起こすではなく、「血」とともに次第に「気」も失われていきます。
止血できず大量の出血が起これば、生命にも危険がおよびます。
ですので、病気または外傷にかかわらず、どこの出血であっても止血はとても重要で、東洋医学でも止血薬はたくさんの種類のものが使われていたようです。

ですが医学が発達した現代では、止血のために生薬に頼ることはほとんど無くなりました。
むしろ漢方では(出血後の)瘀血の除去に強みがあるように思いますので、
止血薬については簡単にまとめておきます。

出血の種類の分類

まず、止血薬の対象となる出血について整理しておきます。

症状血の場所関連する臓腑
喀血咳(気道)
衄血
吐血
尿血小便膀胱・腎
便血大便胃・大腸
崩漏女子胞
紫癜皮下脾不統血など
創傷全身

崩漏:生理期以外の出血・不正出血

出血の原因の分類

中医学的には出血の原因を下の表のように分類します。
実際に漢方的に止血薬を使用するとすれば、こちらの(出血の場所よりも原因の)分類が重要になります。

出血の原因適応する止血薬併用する薬
実熱涼血止血薬清熱涼血薬
虚熱涼血止血薬滋陰涼血薬(生地黄玄参
血瘀化瘀止血薬活血化瘀薬(赤芍など)
虚寒温経止血薬温裏薬乾姜など)
脾虚収斂止血薬健脾薬

出血の原因に応じた止血薬と、状況に応じて適切な生薬を配合して応用されます。

艾葉(がいよう)

キク科ヨモギまたはオオヨモギなどの葉および枝先(5~7月に収穫されたもの)
※餅や団子など食用のものは主に3~5月頃の若芽が使われます
※お灸の「もぐさ」はヨモギの葉の裏の綿毛を集めたもの。精油成分が含まれ、火をつけるとツボの刺激効果とアロマ的効果があります。

【性味】苦 辛 温
【帰経】肝 脾 腎
【効能】温経止血 散寒止痛
温経止血薬です。
虚寒による出血に適しています。不正性器出血、月経過多など。阿膠や当帰などと配合して使用されます。⇒芎帰膠艾湯
その他、下焦の虚寒による下腹部の痛み、月経痛、月経不順、不妊、安胎などに応用されることがあります。
外用としては湿疹や痒みに使用されます。

三七(さんしち)/田七(でんしち)

ウコギ科サンシチニンジンの根

【性味】甘 微苦 温
【帰経】肝 胃
【効能】化瘀止血 活血定痛
化瘀止血薬です。
止血しても瘀血を残さないという特徴から、止血薬の要薬で、吐血、衄血、便血、不正出血、産後の出血過多、外傷の出血など、各種の出血に使われます。
また外傷や打撲のときの内出血(滞った瘀血)の痛み(瘀痛)にも適します。
近年では、活血化瘀の効能によって冠状動脈疾患(狭心症)などにも応用されています。

その他の止血薬

その他の止血薬は参考程度に…

生薬名:基原/主な効能

  • 大薊(たいけい):キク科ノアザミの根および全草/涼血止血、散瘀消癰
  • 地楡(ちゆ):バラ科ワレモコウなどの根/涼血止血、解毒斂瘡
  • 白茅根(はくぼうこん):イネ科チガヤの根茎/涼血止血、清熱利尿
  • 槐花(かいか):マメ科エンジュの花蕾/涼血止血
  • 側柏葉(そくはくよう):ヒノキ科コノテガシワの葉および幼い枝/涼血止血、袪痰止咳
  • 仙鶴草(せんかくそう):バラ科キンミズヒキの全草/収斂止血、止痢、殺虫、補虚
  • 白芨(びゃくきゅう):ラン科シランの地下塊茎/収斂止血、消腫生肌
  • 棕櫚炭(しゅろたん):ヤシ科トウジュロの葉鞘繊維を炭にしたもの/収斂止血
  • 血余炭(けつよたん):ヒトの頭髪を炭にしたもの/止血散瘀、補陰利尿
  • 茜草(せんそう):アカネ科アカネの根および根茎/涼血止血、活血袪瘀
  • 蒲黄(ほおう):ガマ科ヒメガマなどの成熟した花粉/収斂止血、行血袪瘀
  • 伏竜肝(ふくりゅうかん):長年にわたって焼かれた黄土製かまどの中央部の焼け土/温中止血、止嘔、止瀉

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