温裏薬(おんりやく)の概念

7.温裏薬とは

温裏薬は、温性や熱性の性質をもち、裏寒証に用いる生薬です。
寒を散じる作用があるので「散寒薬」とも言います。

温裏薬の効能は大きく分けると2つあります。
一つは、裏(脾胃など)を温めること。
もう一つは、腎陽を盛んにすることです。

表裏と寒熱

まず、温裏薬を用いるのは、裏の寒証です。
裏に寒があるときはこれを温める、というのが治療原則になります。
当然、表↔裏・寒↔熱によって使用すべき薬が違います。

表熱(風熱表証)⇒辛涼解表薬
表寒(風寒表証)⇒辛温解表薬
裏熱⇒清熱薬
裏寒⇒温裏薬
表証とは外感病いわゆるカゼの症状です。それ以外の場合はだいたい裏証ですので、
裏証だとして、熱の過剰(熱証)なのか、熱の不足(寒証)なのかという点に気をつけて用いなければいけません。

裏寒証の特徴

次に、温裏薬は裏寒証に用いるものですが、その裏寒には2つの状態があります。

  1. 強い寒邪が外から体内に侵入して内臓が冷えている状態
  2. 体(特に腎)の機能が衰えている(腎陽虚)ために、寒証が生じ、体が冷えている状態

実寒と虚寒

実寒
外から寒邪が侵入したのは、実寒です。
陽気の巡りが阻害され、胸腹部の冷痛が起こります。この痛みは温めるとラクになります。
また、寒邪の特徴として、下痢(または便秘)や嘔吐、または食欲不振などが起こります。
臓寒証とも言います。
痛みであったり、嘔逆であったりも、冷えていることが原因である場合は
冷えている臓を温める温裏薬を使いながら治療します。

虚寒
内部より寒が生じているのは、虚寒です。
気虚の程度が進んで寒証が生じたものです。
身体を温める機能が低下していますので、四肢の冷え、寒さに弱い、多尿(薄い尿)、下痢などがみられます。
全身を温める陽気の根源にあるのが腎陽ですので、多くは腎陽虚、その他、脾腎陽虚、心腎陽虚が考えられます。
手足が冷たくなる、顔色が青白い、チアノーゼ、脈が非常に弱くなる、といったショック状態のように陽虚の著しいのを亡陽証といいます。
腎陽を盛んにする温裏薬で回復をはかります。

※ただし実際のところ、裏の実寒と、陽虚による虚寒は、同時に起こることもあります。

配合

また、症状に応じて適切な薬を温裏薬と一緒に配合する必要があります。
表証(感冒)を伴うときは解表薬
寒邪による気滞(寒凝気滞)のときは理気薬(行気薬)を
寒湿のときは化湿薬利水薬
また脾虚や腎虚(脾腎陽虚)ともなうときは健脾薬や補腎薬を
虚脱のときは補気薬を
配合薬として考慮されます。

注意点

基本としては温裏薬は寒証があることの確認が必要です。
また、温める作用に優れている薬は、逆に乾燥させる性質を併せ持つことに注意しなければいけません。
冷えた料理でも何でも、ただ温めようとして熱し続けると水分を失って乾燥してきてさらには焦げてきます。
乾燥と湿潤の程度にも気を付け、特に陰虚や血虚の場合は慎重に用いなければいけません。

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