利水滲湿薬(りすいしんしつやく)の概念

6.利水滲湿薬とは

利水滲湿薬りすいしんしつやくは、体内の水液の代謝を促進させ、水の流れを改善し、停滞している水湿すいしつを除去する薬物です。

たんに「利水薬りすいやく」と呼ぶことが多いかもしれません。

結果として、小便の通じもよくなるし、停滞・貯留していた水が尿として出て尿量を増やすので、漢方の「利尿薬」と呼ばれることもあります。

この薬のほとんどは、薬性が「淡」や「平」であることから、「淡滲利湿薬たんしんりしつやく」とも表現されます。

湿を除去する薬

湿邪しつじゃに対する薬には、利水滲湿薬のほかに、袪風湿薬きょふうしつやくや、芳香化湿薬ほうこうかしつやくがあります。

それぞれの効能の違いを整理すると・・・

  1. 袪風湿薬経絡けいらくの湿邪を、発散させて除去する
  2. 芳香化湿薬中焦ちゅうしょうの湿を、運化うんか作用を強めることで除去する
  3. 利水滲湿薬⇒水湿の停留(むくみ等)を、利水によって除去する

ということです。(詳しくは各ページの解説をお読みください)

津液しんえき(本来の正常な水)が部分的にとどこおっていて、過剰に偏在している、そのような津液の異常で、水湿が生じます。

利水滲湿薬は、その水湿に対して使用する薬です。

余分な水分(湿)を排除(利湿)するという意味で、利水滲湿薬です。

シンクの水とスポンジ

「滲」は、にじむ、染み込む、しみ出す、などの意味があります。

ですので「利水・滲湿」の言葉のイメージとしては、こぼれて溜まっている水(湿)を、スポンジや布巾で拭って(滲)、きちんと排水口に流してあげる(利水)という感じの作用でしょうか。

利尿薬と利水薬の違い

西洋薬の「利尿薬」と漢方の「利水薬」は似ているようですが違います。

  • 利尿薬は、尿量を増やす作用によって、体の中の余分な水が出ていく
  • 利水薬は、体内の水が過剰な部分の偏在を解消するために、水を巡らせるので、結果として尿量が増える

そのため、

尿薬は、体内に過剰な水分がない場合でも尿量が増えますが、

薬では、体内に過剰な水分がなければ尿量は増えません

利尿

利水薬の分類

利水滲湿薬は、その効能(性質)の違いによって、3つに分類することができます。

利水退腫薬は水腫証すいしゅしょうに用いる、いわゆる浮腫(むくみ)をとる薬。

利水通淋薬は湿熱淋証しつねつりんしょうに用いる、例えば膀胱炎様の症状を改善します。

利水退黄薬は湿熱黄疸証しつねつおうだんしょうに用いる、つまり黄疸を消退させる薬です。

(具体的な生薬の解説は、各ページに書いています)

配合のセオリー

実際に利用する際には、適した利水滲湿薬を選択するとともに、

症状に応じて他の生薬を配合して用いられます。

セオリーでは例えば、

  1. 表証ひょうしょうがあって急に水腫が生じたものには、宣肺せんぱい発汗作用のある麻黄と配合します
  2. 慢性的な水腫で、脾や腎の陽虚ようきょのものには、温補脾腎おんぽひじんの薬(白朮乾姜附子など)を配合します
  3. 湿熱が結びついたものには、山梔子などの清熱瀉火薬せいねつしゃかやく清熱燥湿薬せいねつそうしつやくと配合します
  4. 気の停滞があれば、(気を巡らせれば水も巡るという観点から、)理気薬りきやくを配合します

利水によって陰液いんえきを消耗しすぎないように、単独での使用は注意する必要があります。

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