【荊芥連翹湯】~皮膚の痒みや炎症、耳やのどの炎症に用いられる漢方薬~

荊芥連翹湯

荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)の解説

構成生薬

日本で明治~昭和にかけて活躍した、一貫堂医学の森道伯によって創られた方剤です。

四物湯しもつとう(地黄・当帰・芍薬・川芎)と、黄連解毒湯おうれんげどくとう(黄連・黄芩・黄柏・山梔子)を合わせた温清飲うんせいいんがベースになっています。

また、温清飲には柴胡と連翹を加えたバージョンもあり、こちらを一貫堂では、四物黄連解毒湯とよんで区別していて、四物黄連解毒湯がベースということもできます。

(一貫堂では四物黄連解毒湯を解毒証体質に用いる処方のベースにしていて、柴胡清肝湯さいこせいかんとう竜胆瀉肝湯りゅうたんしゃかんとうも同様です。)

荊芥連翹湯は、この四物黄連解毒湯をベースにして、さらに解表薬げひょうやく(体表に近い部分の症状を治す薬)などを配合しています。

  • 荊芥・防風・薄荷 ⇒ 発散作用(解表)、消炎
  • 桔梗・白芷 ⇒ 排膿
  • 柴胡・黄芩 ⇒ 消炎、解毒

解表薬のなかでもとくに荊芥が代表的生薬で、荊芥が配合されている方剤があれば、8割がたは体表(皮膚や粘膜)に作用する方剤です。

荊芥は温性で、また芳香によって疏散にはたらきますが、

それに対して、もし化膿性疾患や赤みのある湿疹で、消炎や解毒の必要があるときには、寒性で清熱にはたらく連翹が必要です。

荊芥連翹湯は、その荊芥と連翹がタッグを組んている、という方剤です。(清上防風湯せいじょうぼうふうとう銀翹散ぎんぎょうさん治頭瘡一方ぢづそういっぽうなどにも荊芥・連翹のペアはあります。)

ちなみに、桔梗には一緒に配合する各生薬の効果を、身体の上部に導く引経薬としての役割があります

 

解毒証体質とは:
肝臓の解毒作用の弱い体質。結核にかかりやすい。子供のときから扁桃腺炎や中耳炎にかかりやすい。感染やアレルギーで炎症を起こしやすい。いわゆるアレルギー体質。

効能効果

医療用エキス製剤

蓄膿症、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび

薬局製剤

体力中等度以上で、皮膚の色が浅黒く、ときに手足の裏に脂汗をかきやすく腹壁が緊張しているものの次の諸症:蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきび

ポイント

蓄膿症や慢性鼻炎のほか、アトピー性皮膚炎のような慢性的な皮膚疾患に用いられます。

即効的な効果よりも、体質改善を兼ねて、比較的長期で処方されることが多い漢方薬です。

体質的には、よく鼻づまりを起こす、副鼻腔炎や中耳炎を繰り返す、吹き出物が出やすい、

皮膚は湿疹病変を繰り返し、色が浅黒くなっている、手のひらが汗でべとつきやすい、等があげられます。

胃腸が弱い方は、胃もたれや下痢を起こすことがありますので注意しながら使用してください。

とても苦い漢方薬です。飲みにくい場合は冷服の方が飲みやすいです。

出典

一貫堂経験方

※『万病回春』の耳病門と鼻病門それぞれに同名で配合が異なる方剤が載っていまして、一貫堂の荊芥連翹湯はそれらを合わせてさらに黄連と黄柏が加味されています。

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