胃もたれ・消化不良の漢方薬
「食べたあと、いつまでも胃が重い」「朝起きてもスッキリしない」「年齢とともに、食が細くなった気がする」
そんな胃の不調が続くと、生活全体の活力が奪われてしまいます。
漢方では「胃もたれ」は、単なる消化器の問題ではなく、「気・血・水」や「五臓六腑」のバランスの乱れと捉えます。
体質に合わせた漢方と、生活養生の組み合わせで、根本から整えていきましょう。
こんなお悩み、ありませんか?
- 食後に胃が重たく感じる
- 胃がムカムカして吐き気がすることがある
- 食べ過ぎていないのに、膨満感がある
- ストレスを感じると胃の調子が悪くなる
- 胃薬を飲んでもすぐ戻る、根本的に治らない気がする
こうしたお悩みの背景にある「体質」をじっくり見極めていきます。
西洋医学と東洋医学のちがい
西洋医学では、胃酸の過多・胃粘膜の炎症など「その場の症状」を中心に対処します。
一方、東洋医学では「胃腸の働きを弱めている根本の原因(体質)」に着目します。
だからこそ、同じ“胃もたれ”でも、人によって処方が変わるのが漢方の特長です。
例えば、胃腸虚弱の場合、
漢方的には脾気虚。脾の機能の低下した病態。
慢性的な脾気虚は、消化器のはたらきの低下とともに、全身的な気虚の原因になります。疲れやすい、手足がだるい、元気がないなど。
基本方剤である四君子湯を代表として、人参・白朮・茯苓・甘草などがベースに配合されている漢方薬が使われます。
吐き気や嘔吐は、漢方では胃気(胃の機能)の失調と考えます。
下降すべきものが逆に上がってくる状態なので、胃気上逆といいます。
胃気上逆の悪心・吐き気を治める作用に優れている生薬は半夏や生姜であり、基本的にはこれらが配合されている漢方薬が用いられます。
また実際に嘔吐してしまうときは茯苓や白朮が配合されているものもよく使用されます。
逆流性食道炎も、
暴飲暴食・食べすぎ・早食いが原因のものだけでななく、もともと胃のはたらきが弱っているもの、ストレスや生活習慣が影響しているものなどがあります。それぞれに応じた対策が必要です。
胃もたれの体質タイプを知ろう
【① 脾胃虚弱タイプ】
- 胃腸がもともと弱く、冷たいものや油で不調に
- 疲れると食欲が落ちる
- 下痢しやすく、やせ型の人に多い
【② 肝胃不和タイプ】
- ストレスを感じると胃が痛くなる
- イライラ・ため息・緊張しやすい
- お腹が張りやすい/便通が不安定
【③ 食積・湿熱タイプ】
- 揚げ物・焼き肉・甘いものが多い食生活
- 胃もたれ+胸やけ・ゲップ・口臭がある
- 舌が黄色っぽく、ねばつくことも
体質に合わせた漢方薬のご紹介
胃もたれ・消化不良に用いるその他の漢方薬の例
✅ 香砂六君子湯:胃の虚弱で少食、食後に吐き気、胃痛、みぞおちのつかえ、消化不良など
✅ 加味平胃散:食べすぎ・脂っこいものによる胃もたれに
✅ 茯苓飲合半夏厚朴湯:ストレスによる胃のつかえ・吐き気に
✅ 化食養脾湯:食欲不振、みぞおちのつかえ、疲れやすい
✅ 不換金正気散:体力中等度、胃がもたれ食欲がない
✅ 香砂養胃湯:慢性の胃腸虚弱、食欲不振、胃のもたれがつよい
など、体質・体調に応じて適した処方をご提案いたします。
胃もたれ対策の養生アドバイス
- 冷たい飲食物は避け、温かい汁物を中心に
- よく噛んで食べることで胃の負担を軽減
- 夜遅い食事は控え、胃の休息時間をつくる
- ストレスケアに深呼吸や軽い運動を取り入れる
など、さらに詳しくは⇒胃痛・胃炎・胃もたれのときの養生法
