漢方で整える養生法|冷え症・貧血(鉄欠乏性貧血)・骨粗しょう症・二日酔い・老化対策まで
「なんとなく体がだるい」けど、そんなものだと思ってあきらめていませんか?
冷えや貧血、骨の衰え、二日酔いのつらさや、年齢とともに感じる変化は、体の内側のバランスの乱れが原因かもしれません。
漢方では、「気・血・水」の不足や停滞、「腎」の衰えなど、不調の“根本”にアプローチして体全体のバランスを整えていきます。
ここでは、冷え症・鉄欠乏性貧血・骨粗しょう症・二日酔い・老化対策について、生活習慣・食事・漢方的視点の3つの角度から基本的ケアをまとめています。
あなたの毎日の体調を整えるために、生活習慣と食事からできる漢方的アプローチをご紹介します。
冷え症
生活
- バランスのよい食事をこころがける。朝食を抜かない。
- 夜更かしを避けて、十分な睡眠をとる。快適に眠れる寝具を選ぶ。
- 熱を生むためには筋肉量も必要。できる範囲で運動や筋トレをこころがける。早足で歩く、つま先立ち、階段を使う、スクワット、腹筋・・・。
- 特に下半身、足首、首回りを冷やさないこと
- 体を締め付ける服装は血行不良をおこすので避ける。靴下を重ねたり腹巻きをする場合も血流を妨げないように気をつけて。
- 長時間のスマホに注意する(自律神経が乱れ血行が悪化し冷えることがある)
- お風呂は少しぬるめ(39~40℃)のお湯で、汗が出る程度までゆっくり浸かる。入浴剤も有効。柑橘系やハーブのお好みの香りでリラックスするのも良い。入浴後は脱衣所で体を冷やさないように注意して。
- 過度なストレスが原因で冷えていることもあります。
食事
- 温性食品をとる
- タンパク質もしっかりとる
- 香味野菜をとる
- 冷えたもの・生野菜は避ける
- 水分の過剰な摂取を避ける
- 無理なダイエットは禁物
- 体を冷やしやすい食材(トマト、キュウリ、ナス、タケノコ、海藻類、カニ、スイカ、イチゴ、牛乳など)は摂り過ぎないように
- 塩は精製された塩(ほぼNaCl)よりもミネラルが含まれる自然の天然塩にする
漢方的視点:冷え症は「陽虚」や「血虚」「気虚」が原因となることが多く、体を温め、気血の巡りを改善することが重要です。特に手足の冷えや、疲れやすさ、月経不順などがある場合は体質に合わせた漢方薬が必要です。
代表的な漢方薬:当帰四逆加呉茱萸生姜湯、苓姜朮甘湯、八味地黄丸など
貧血(鉄欠乏性貧血)
生活
-
無理なダイエットを避ける(食事量の不足は「血」の生成を妨げます)
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十分な睡眠をとる(「血」は夜間に養われるため、夜更かしは避ける)
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過労を避け、休養をしっかりとる(疲れすぎは「気血」の消耗を招く)
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適度な運動を行う(血行を促進し、「気血」の巡りを良くする)
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目の使いすぎを避ける(目は「血」を多く消耗するため、酷使は血虚を悪化させる)
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冷えに注意し、体を温める(冷えは血行を阻害し、「血」の生成と巡りを妨げる)
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ストレスを溜めないようにする(ストレスも「気血」の巡りを阻害する)
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生理が多すぎる場合は医師などの専門家に相談する(女性の「血」不足の原因の一つ)
食事
- 鉄分を多く含む動物性食品をとる
- 鉄分の吸収を助けるビタミンCが豊富な野菜を一緒にとる
- 造血(赤血球をつくる)にかかわる銅、葉酸、ビタミンB12を多く含む食材をとる
- 過度のダイエット・偏った食事・過度の飲酒は慎む
非ヘム鉄は卵や乳製品、大豆、野菜、海藻などに含まれますが、ヘム鉄の方が吸収率に優れています。
漢方的視点:漢方では、貧血は「血虚」に分類されます。単に鉄分の不足を補うだけでなく、気血を補う全体的な体力の底上げが必要です。顔色が悪い、めまい、疲れやすい、月経異常など、身体的な症状と併せて判断することが重要です。
代表的な漢方薬:四物湯、当帰芍薬散、十全大補湯、人参養栄湯、帰脾湯など
骨粗しょう症
漢方的視点:骨粗しょう症は『腎精(じんせい)の不足』が原因と考えられます。「腎は骨をつかさどる」とされ、腎の衰えが骨の弱化に直結します。加齢や過労、慢性的な消耗によって腎精が減ると、骨密度が低下しやすくなります。
二日酔い(予防)
食事
- アルコールを分解しやすくするため良質のタンパク質(豆腐・枝豆・納豆・鶏肉・チーズなど)をとる
- 肝機能を高めるタウリンが多く含まれる食品をとる
- 肝臓のはたらきを助けるアミノ酸(オルニチン)などのサプリメントを摂取する(用量は守って)
- アルコールを分解する酵素に必要なビタミンであるナイアシンを多く含む食品や、糖質の代謝に必要なビタミンB1を含む食品をとる(豚肉・きのこ・豆など)
- 胃の粘膜を保護するネバネバ食材をとる(おくら・なめこ・納豆など)
- そもそもお酒を飲み過ぎない
サプリメントに頼るよりも適度な飲酒量にすることの方が重要です。
老化対策
生活
- 体を冷やすもの(ジュース、ビール、牛乳など)をとり過ぎない
- 腹八分目をこころがける
- 毎日歩く習慣をつける
- リラックスした状態で心も安定していたほうが良い
- 常に前向きであり、物事への関心を持ち続けた方が良い
食事
- アンチエイジングには強い抗酸化作用のある成分、ポリフェノール類(アントシアニン、カテキン、クロロゲン酸、タンニン、レスベラトロールなど)やビタミンE、アスタキサンチンが含まれる食品をとる
- 新鮮な旬のものを食べる
- 発酵食品をとる
- ビタミンDやビタミンB2、カルシウム・亜鉛・銅などのミネラル、タンパク質も、皮膚や骨、筋肉を強化するために大切
- EPA、DHAが多く含まれる魚(イワシ・サバなど)を食べる
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