揚げ物や焼肉を食べた後、お酒を飲みすぎた後、味の濃い食事や甘いものが続いた後に、お腹を壊しやすくなることはありませんか?
その場限りの食べすぎと思っていても、同じようなことを何度も繰り返している場合、胃腸に負担がかかりやすい状態が続いている可能性があります。
漢方では、このような下痢を単なる食べすぎと片付けず、飲食の不摂生によって胃腸に湿気や熱がたまった状態と捉えることができます。
ここでは、脂っこい食事や飲みすぎによる下痢を漢方的にどのように考えるか、またどのような生薬や漢方薬が使用されるのかについて解説します。
脂っこいものや飲みすぎで下痢しやすい理由
脂っこいもの、甘いもの、お酒は、いずれも胃腸に負担をかけやすい飲食物です。
特に大量に摂取したり、何日も続けて摂取したりすると、胃腸が食べたものをうまく処理できなくなります。その結果、お腹が重い、張る、むかつく、便がゆるくなるなどの不調が起こりやすくなります。
漢方では、このような状態を「湿」や「熱」といった言葉で説明します。
「湿」は重だるさやべたつき、すっきりしない感覚として現れやすく、「熱」が加わると、においの強い便、肛門の不快感、口の粘つきや苦味などの症状が出やすくなります。
飲食の不摂生が続くと、胃腸に「湿熱」がこもり、それが下痢として現れることが多くなります。
このタイプの下痢では、単に便を止めるだけでは不十分な場合があります。どのような食べ物が症状を悪化させているのか、便の性質はどうか、胃のつかえやむかつきがあるかなどを確認しながら、胃腸の中の乱れを整えることが重要です。
湿熱に黄連・黄芩・茵蔯蒿
脂っこい食事や飲みすぎが原因で起こる下痢を漢方的に考える際、代表的な生薬として挙げられるのが黄連と黄芩です。
黄連や黄芩は、胃腸にこもった熱を冷ます作用を持つ生薬です。熱感を伴う下痢や強い臭いの便、胃腸の不快感、吐き気などの症状に対して重要な役割を果たします。「食べたものが消化不良を起こし、熱を生じて胃腸が荒れている」ような状態を整える際に、これらの生薬が役立ちます。
一方、茵蔯蒿は、湿熱による重だるさや飲みすぎ後の不快感に対して用いられることがあります。特に、お酒や濃い味の食事が続いた後の吐き気、むかつき、水分代謝の乱れを伴う場合に、この生薬が合うことがあります。
これらの生薬は単に下痢を止めるのではなく、胃腸にたまった熱や湿を取り除くことで、乱れた消化機能を整えることに意味があります。
脂っこいものや飲みすぎで下痢しやすい方に用いる漢方薬の例
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
半夏瀉心湯は、みぞおちのつかえ感や胃の不快感、むかつき、腹鳴などの症状を伴う場合に効果的な漢方薬です。食べすぎや飲みすぎの後、お腹を下すだけでなく、胃の重さやつかえ感、気分の悪さ、ゴロゴロ感、食欲不振が見られる際に適しています。
黄連や黄芩が含まれており、食べすぎや飲みすぎによって胃腸にこもった湿熱による不調を整えるのに役立ちます。
茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)
茵蔯五苓散は、飲みすぎのあとのむかつきや、むくみ、下痢など、水分代謝の乱れを伴うような場合に考えられる漢方薬です。脂っこいものやお酒で胃腸に湿熱がこもると、単に下痢だけでなく、体の水の巡りまで乱れて、重だるい、むかつく、すっきりしないといった状態になることがあります。
「二日酔いには五苓散」を服用している人も多いと思いますが、悪心・嘔吐・むかつきなどがとくに強いときは、茵蔯蒿を含む茵蔯五苓散がより適した選択肢となることがあります。
胃苓湯(いれいとう)
胃苓湯は、脂っこい食事や飲みすぎの後に起こる、消化不良の水っぽい下痢に対してよく用いられる漢方薬です。黄連や黄芩は含まれませんが、湿邪による胃腸障害に用いられる平胃散を、五苓散に合包したものです。急な腹痛や食あたり、暑い時期の飲食の乱れによる水様性の下痢などに効果が期待できます。
脂っこい食事や飲みすぎでお腹を壊しやすい方へ
同じ下痢でも、例えば、水っぽい下痢の場合や、胃のつかえやむかつきが強い場合では、原因や対処の仕方が変わります。また、一度の暴飲暴食で急激に症状が出る方もいれば、偏った飲食が続くことで慢性的に繰り返す方もいます。
脂っこいものや飲みすぎで下痢しやすい方は、胃腸にどのような負担がかかっているのかをしっかり見極めることが大切です。
下痢や軟便についての詳しい考え方は、以下のページをご参考ください:
下痢・軟便の漢方薬ページ

また、胃腸が弱く慢性的に便がゆるい方にはこちらがおすすめです⇒胃腸虚弱で下痢しやすい方へ
さらに、冷えが原因で下痢しやすい方はこちらもも参考にされてください⇒冷えると下痢しやすい方へ
脂っこい食事や飲みすぎが原因でお腹の調子を崩しやすい方は、ぜひお気軽にご相談ください。


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