【桂枝加葛根湯】の解説

桂枝加葛根湯

~桂枝湯と葛根湯のあいだにある漢方薬~

桂枝加葛根湯けいしかかっこんとうは、

桂枝湯に、葛根を加えたもの。

肩こりや、頭痛、首の痛みのあるカゼに用いられる、身体虚弱な虚証きょしょう向きの漢方薬です。

効能・効果

医療用エキス製剤(東洋)

身体虚弱なもののカゼの初期で、肩こりや頭痛のあるもの

薬局製剤

体力中等度以下で、汗が出て、肩こりや頭痛のあるものの次の症状;かぜの初期

構成生薬

  • 桂枝(ケイシ)または桂皮(ケイヒ)
  • 葛根(カッコン)
  • 芍薬(シャクヤク)
  • 大棗(タイソウ)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 生姜(ショウキョウ)

桂枝湯けいしとうに、葛根を加えたものです。

葛根は、滋潤のはたらきがあり、筋肉に潤いをあたえて、芍薬や甘草とともに筋肉の緊張をゆるめます。

ベースは桂枝湯なので、通常は桂枝湯を用いるような虚証のカゼにおいて、首(うなじ)~背にかけての緊張・コリをともなう場合に適しています。

桂枝湯や葛根湯との使い分け

古典の『傷寒論』を参考にすると、

桂枝湯を使う症状で、肩こりが強い場合(項背部がこわばる場合)には、

桂枝加葛根湯を使うようにとの記載があります。

太陽病、項背強ること几几として、反て汗出で悪風する者は、桂枝加葛根湯之を主る」

傷寒論 太陽病上篇

そして、もし無汗で悪寒がつよければさらに麻黄を配合する、ということになります。

桂枝湯+(葛根)=桂枝加葛根湯 で、

桂枝加葛根湯+(麻黄)⇒葛根湯

です。

  • 頭痛、発熱、汗出て、悪風する⇒桂枝湯
  • 項背強張り、汗出て、悪風する⇒桂枝加葛根湯
  • 項背強張り、汗出ず、悪風する⇒葛根湯

つまり要点をまとめると、

葛根湯:桂枝湯に、麻黄を加えると発汗作用が強くなるので、汗のないときに用いる。

桂枝加葛根湯 :桂枝湯に、葛根のみを加えても、発汗作用は特別強くはないため、汗のある状態に用いる。

葛根が入る場合は「項や背のこわばり」があるかどうかがポイントです。

汗のある状態というのは、流れる汗ではなくて、

皮膚(手の甲・ひたい・背筋など)を触れてみて、しっとりしていれば、汗が出ていると判断します。

汗が漏れるのは、虚証だからであり

カゼに対する抵抗力の弱い人ということなので、

その時に葛根湯は使いません。

発汗の力は、桂枝湯≦桂枝加葛根湯<葛根湯麻黄湯です。

麻黄による副作用などの心配がある方は、葛根湯の代わりに桂枝加葛根湯を検討してください。

 

 

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