【滋陰至宝湯】~虚弱な人の、慢性の咳や痰に用いられる漢方薬~

滋陰至宝湯

滋陰至宝湯(じいんしほうとう)の解説

滋陰至宝湯じいんしほうとうは、

胃腸が弱く体力がない人の慢性化した咳嗽で、

とくに、イライラやうつ等の精神症状をともなっているときに用いられます。

構成生薬とその特徴

滋陰至宝湯は、逍遙散しょうようさんがベースになっています。

逍遥散は、更年期障害や神経症・不眠など不定愁訴に用いられる漢方薬です。

加味逍遙散かみしょうようさんではなくて、逍遙散です。なので加味逍遙散に比べると、ほてり・のぼせ等の虚熱きょねつ症状はひどくありません。)

その逍遙散(から生姜を抜いたもの)に、麦門冬・知母・地骨皮・貝母・陳皮・香附子を加えたものが、滋陰至宝湯です。

麦門冬は肺を潤します。よく(肺燥による)乾いた咳、長引く咳、粘稠で切れにくい痰などに使われます。

そのほか、知母・地骨皮・貝母など、肺熱を清し、痰を除き、咳嗽をしずめる生薬も加わっています。

陳皮は去痰作用だけでなくて、消化器のはたらきの改善も担っています。

陳皮と香附子とで、理気(気のうっ滞を除去する)作用を強化しています。

ということで、

滋陰至宝湯は、もともと逍遙散が適するようなタイプで

慢性の呼吸器(肺・気管支の)疾患があり、体力が低下している(栄養状態が悪くなっている)ものに用いられます。

咳や痰を抑えるとともに、

消化器機能の回復や、憂うつ的な気分の発散ができるように配慮もされています。

効能効果

医療用エキス製剤(ツムラ)

虚弱なものの慢性のせき・たん

薬局製剤

体力虚弱なものの次の諸症:慢性のせき、たん、気管支炎

 

出典

『万病回春』(16世紀)

 

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