川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)の解説
頭痛専門というような漢方薬があります。
それが川芎茶調散であり、とりあえず「何だか頭が痛い」といえばまずはこれ、という感じの漢方薬です。
頭が痛くなるのは、片頭痛とか緊張型頭痛とか、はっきりした診断ができるような頭痛だけではなくて、
例えば疲れたとき・風邪っぽい・寝不足・仕事で嫌なことがある、生理中、その他ストレス等
いわゆる「頭痛のたね」のようなものがあったときにも、こめかみや頭部がズキンズキンと痛くなることがあります。
そのような日常的な頭痛に、頓服でも使用できる漢方薬として「川芎茶調散」です。
川芎とお茶で調えるという意味の名前です。
構成生薬
川芎茶調散には9つの生薬が配合されます。
様々な原因の頭痛に効果があるとされる川芎を主薬としているだけでなく、
ほとんどの生薬が、頭痛に効果のあるもので構成されています。
前頭部・側頭部・後頭部・頭頂部の頭痛に有効な生薬がそれぞれ含まれて、頭痛全般をカバーしているといえます。
また痛みにだけではありません。
荊芥・防風・薄荷・白芷・羌活は、解表薬(風邪を追い出す薬)です。
川芎・薄荷・香附子などは、血や気を巡らせます。
香附子は、女性の気うつの頭痛に効果があります。
茶葉は、頭をスッキリさせます。
そのため川芎茶調散は、カゼ(感冒)のときの頭痛、そして、日常的に、カゼのときの頭痛のような痛みが起きるときに応用されています。
ツバキ科 Thea sinensis (Camellia sinensis) の葉。いわゆる緑茶のこと。カフェインも含まれます。
医療用エキス製剤で茶葉が用いられるのは、この川芎茶調散のみです。
効能効果
元々は、風寒のカゼ(感冒時)で、頭痛がするときに使われる方剤です。
風寒の頭痛ですので、悪寒、発熱、鼻づまり、首や背中の強ばり等のある、風邪によって頭痛が起きている状態に使います。通常はカゼが治れば痛みも治まってきます。
女性では月経に関連して起こる頭痛にも用いられます。
風寒のカゼと、風熱のカゼがあるように、川芎茶調散は、カゼの頭痛に使われることになっていますが、通常は風寒頭痛に対して使われます。もし、発熱して、顔が赤い、のどは炎症があって痛い、尿の黄色が濃い、などであれば、風熱に対する薬が必要になります。医療用にはありませんが、「銀翹散」などを優先した方がいいかもしれません。
添付文書上の効能・効果
【ツムラ】【オースギ】
かぜ、血の道症、頭痛
副作用や注意点
香り(芳香)の強い生薬がたくさん配合されているので、お湯に溶かした場合、人によっては少し飲みづらく感じるかもしれません。(ただ、風寒のカゼの際には、なるべく温服が望ましいです)
頓服でも使用されますし、継続的に処方されることもあります。連用されるときは甘草による副作用に注意してください。
胃腸の弱い方は、食欲不振や胃部不快感など起こるおそれがありますので、慎重に使用されてください。
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