【沢瀉湯】~急性のめまい、回転性のめまいに用いられる漢方薬~

沢瀉湯(たくしゃとう)

沢瀉湯(たくしゃとう)の解説

構成生薬

二味ともに、水滞に対する頻用生薬です。

どちらも利水作用がある生薬という点で共通です。ところが、

沢瀉は「甘味・寒性」で専ら利水【瀉】にはたらき、

白朮は「苦味・温性」で補気健脾【補】にもはたらく、

という性質的には反する生薬です。

この二つの生薬の組み合わせで、体のすいの流れを改善し、めまいを抑えます。

沢瀉と白朮のペアは、

五苓散ごれいさん当帰芍薬散とうきしゃくやくさん半夏白朮天麻湯はんげびゃくじゅつてんまとうなどにも配合されています。(※白朮は蒼朮の場合もありますが)

そしてやはりこれらの方剤すべてに「めまい」の適応があります。

効能効果

めまい、頭重

シンプルな生薬構成の方剤であり、

急性のめまい、ぐるぐる回るめまいに、よく頓服で用いられます。

乗り物酔いに使われることもあります。

虚証や実証などの体力に関わらず用いることができます。

※沢瀉湯は、医療用エキス製剤にはありません。

 

<補足>

白朮が配合されていて沢瀉は配合されていないものでも、めまいに使われる方剤があります。

例えば真武湯しんぶとう苓桂朮甘湯りょうけいじゅつかんとうです。

これらは、めまいというよりも、ふらつき、動揺感といった症状のときに使われることが多く、

回転性のめまいのときは、やはり沢瀉が入っているものがよく使われます。

ただしそのような使われ方が多いというだけで、厳密に使い分けが必要なわけではありません。

出典

『金匱要略』(3世紀)

心下に支飲しいん有りて、其の人冒眩ぼうげんに苦しむは沢瀉湯之を主る。

心下…胃
支飲…痰飲

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