“ま行”の漢方用語の説明
あ行 | か行 | さ行 | た行 | な行 |
は行 | ま行 | や行 | ら行 | わ行 |
ま
曲直瀬道三(まなせどうさん) |
田代三喜の弟子で、李朱医学を継承しつつ、自己の経験を加えて独自の医学を確立する。「啓廸院(けいてきいん)」という医学校を開設し多くの医師を育てた。田代三喜とともに後世派の代表。(1507~1594) |
万病一毒説(まんびょういちどくせつ) |
すべての病気は一つの毒によって起こるという江戸時代の医師、吉益東洞の説。「毒(強い薬)をもって、毒(病気)を制すべし」。伝統的な理論で治すのではなく、病気を治すためならそれに応じた効果の強い薬も使っていくべき。当時、吉益東洞は治療が非常に困難だった梅毒患者をたくさん診ていたことが背景にあると考えられる。 |
万病回春(まんびょうかいしゅん) |
中国の明代の名医、龔廷賢(きょうていけん)によって編纂された医学書(1587)。江戸時代の初期、日本の医学にもダイレクトに影響を与えたとされる。六君子湯、清肺湯、疎経活血湯、清上防風湯、潤腸湯など漢方製剤にもある多くの方剤が収載されている。 |
み
未病(みびょう) |
漢方で重要視される、まだ病気として発症はしていないが、発病する危険性がある状態。病気にかからないこと、病気の進行を未然に防ぐことが最も重要という思想から。「名医は ①東洋医学的な未病:自覚症状があるが、検査結果では異状なし。疲れやすい、だるい、肩こり、頭痛、食欲不振など ②現代的な未病:検査結果に異常あるが、症状は特になし。高血圧、高脂血症などの生活習慣病。 |
脈象(みゃくしょう) |
脈診したときに感じられる脈の形象。浮脈・沈脈・遅脈・数脈…。 |
脈診(みゃくしん) |
切診のひとつで、両方の手首の橈骨動脈に3本の指を軽く当てて脈をとり、脈の状態(速さ、深さ、強さ、勢いなど)から、病態を把握する方法。 |
む
め
命門(めいもん) |
①背中にある経穴。へそのある部分の真裏に位置する。 ②古典『難経・三十六難』によると、右の腎。生命の根源的な気がやどる場所とし、命の門と呼んだ。腎が二つあるので、腎陰と腎陽を左右に振り分けて説明しているだけで、右であることに理屈はない。腎陽虚を改善する方剤である右帰丸や右帰飲の名称は、命門(右の腎)にはたらきかけるという意味。 |
命門の火(めいもんのひ) |
腎陽。身体の熱源。二つの腎の真ん中に熱エネルギーの源泉があるというイメージ。この火が生命活動を推し進める原動力であり、火が弱まってくると身体が冷えてくるし、様々な機能低下が現れると考えていた。 |
瞑眩(めんげん) |
漢方薬を服用した後で一時的に思いもよらない激しい症状を起こし、その後、急激に症状が改善したり、劇的に病気が治癒したりすること。非常に稀な現象。通常、思いもよらない症状があらわれた場合は、瞑眩を期待するのではなく、副作用として対処すべきである。 |
も
木(もく) |
五行説における5つの要素(木火土金水)のうちの一つ。伸びやかに成長する特性。□にかこまれて伸びやかに成長できない木は困る。季節では春の象徴。臓腑では肝と胆に対応(肝には気をのびやかに巡らせる疏泄作用がある)。火を生み、金に負け、土に勝つ。 |
艾(もぐさ) |
ヨモギ(キク科の植物)を乾燥させて、砕き、ふるいにかけ、葉の裏にある繊毛(毛茸)を集めたもの。主にお灸に使用される。品質は様々で、長期間寝かせることで適度な油分となりゆっくりと燃え、毛茸の純度が高いほど一定の心地よい温度が維持できる。 |
木臓(もくぞう) |
肝の別称。 |
問診(もんしん) |
四診の一つ、質問によって情報を得る。問診票も活用される。漢方の問診では、自覚症状や既往歴だけでなく、汗の有無、冷え、大便や小便、睡眠、その他、家族構成、嗜好品など、生活状況まで確認しておくことが、漢方薬を処方する際の重要な決め手となることがある。 |