胃(い)
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六腑のひとつ。西洋医学的な胃と同じもの。飲食物をいったん受け入れて貯留し、初歩的な消化(腐熟)を行い、小腸へ送る。脾とは表裏の関係にある。
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医案/医案書(いあん/いあんしょ)
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症例/症例集。病人を診断・治療した際の、病状や診療の記録。医按、治験、病案ともいう。医案を書くことは、自身の自己研鑽のためでもあり、後学者の学びにも役立つ、そのためには正確な医案でなければならない。
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萎黄(いおう)
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皮膚が黄色くくすんでいて艶がない。
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畏寒(いかん)
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寒さに弱い・寒さが気になる・寒気を嫌がる。悪寒ほどではなくて、温かくしても寒気はするものの緩和されやすい。
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胃脘(いかん)
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胃。胃袋。胃を上中下の3つに分けた場合、上脘(噴門を含む)・中脘(胃体部)・下脘(幽門を含む)と言い、それらを合わせた言い方。
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胃脘痛(いかんつう)
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胃痛・上腹部痛。
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胃気(いき)
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胃の機能。 消化機能。飲食物を受け入れて収納し最初の消化を行う機能。胃気が保たれていれば食欲がある。生きるためにも必要な力。
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胃気上逆(いきじょうぎゃく)
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胃は本来、食べ物を下へ向かって運搬する、つまりベクトルは下向きが正常であり、これを「胃は降を主る」と言うが、この機能が失えば胃気の向きが逆になる。悪心・嘔吐・げっぷなどが起こる。胃気失和・胃失和降ともいう。
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遺屎(いし)
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大便失禁。
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医食同源(いしょくどうげん)
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薬食同源(やくしょくどうげん)と同じような意味だが、日本でつくられた造語とされる。ふだんから口にする飲食物も病気の予防や治療には大事だよって言いたいときに使う言葉。
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遺精(いせい)
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性行為を行っていないのに精液が漏れること。眠っているときに起こると夢精。
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倚息(いそく)
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呼吸困難。何かに寄りかかって息をしている。
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溢飲(いついん)
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飲(いん)の病証のひとつ。四肢(手足)や全身の皮下にたまった浮腫(水滞)のこと。
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一貫堂医学(いっかんどういがく)
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森道拍が創始した漢方医学。現代人の体質を、瘀血証体質・臓毒証体質・解毒証体質というものに三大分類して治療や体質改善するのが特色で、いわゆる後生派、古方派、折衷派などを超えた独自の位置づけとなっている。
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胃内停水(いないていすい)
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胃腸の水分代謝が悪く、胃の中に過剰の水分がある。胃のあたりを軽くたたいたり揺すったりするとポチャポチャと音がする状態。
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遺尿(いにょう)
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小便失禁。睡眠中に尿が排出されること。腎虚によるものが多い。
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胃熱(いねつ)
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胃が熱をもった状態。食べても食べても空腹感があり過食状態になりやすい。げっぷ、胸やけ、口の渇き、歯肉の腫れ、便秘などがみられる。胃火(いか)とも言う。
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胃痞(いひ)
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胃に何かが痞えている感覚。
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異病同治(いびょうどうち)
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異なる病気を同じ治療法で治しちゃう。症状が異なっていたとしても、その根本的な原因を追究してみて、すべて同じ原因から起きたと考えられる場合は、同じ治療法でOK。↔同病異治(どうびょういち)
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飲(いん)
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①水分の代謝異常により生じる病理産物。水液が体の一部分に停滞しているものであり、質が薄くて水っぽいもの。(濃くて粘っこいものは「痰」という。が、区別が難しいときはまとめて「痰飲」と言っておけば間違いない)
②漢方薬の名前の最後に付く言葉。「○○湯」とだいたい同じ。「茯苓飲」「折衝飲」
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陰(いん)
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↔陽(よう)。静か、暗い、冷たい、重い、凝集、湿潤、内向き、抑制、衰退といったものの象徴。
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陰液(いんえき)
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①体内に存在する津液(しんえき)や血(けつ)など、からだに必要な栄養分を含んだ水液すべて。
②気・血・津液(水)・精という人体を構成する基本的物質のうち、機能面をあらわす気を「陽気」というのに対比させて、物質面をあらわすときの血・津液・精を「陰液」と呼ぶ。
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飲家(いんか)
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ふだんから水毒(水飲)のある人。
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咽乾(いんかん)
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のどの粘膜の乾燥。
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咽喉不利(いんこうふり)
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のどの異物感や不快感。
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陰虚(いんきょ)
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①陰が、弱い・少ない・足りない状態。陽の力が相対的に強いので、熱っぽい、手足がほてる、寝汗をかく、舌が赤くなる、などがみられる。体の構成成分の液体(血・体液など)が不足し、消耗、乾燥状態になる。
②日本漢方では、陰証(寒がり)で虚証(体力が弱い)の人を指していることがあるので、まぎらわしい言葉の一つ。
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陰虚火旺(いんきょかおう)
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陰虚内熱(陰虚による熱症状)の顕著なもの。虚火。陰虚陽亢。
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陰虚内熱(いんきょないねつ)
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陰(陰液)が不足したことで相対的に陽(陽気)が増えた状態になり、口の渇きや、手足がほてるなどの熱症状が出ること。虚熱。特に熱症状の強いものを陰虚陽亢と呼ぶ。
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陰証(いんしょう)
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①すべての病気を陰か陽に分けようとした場合、虚証・裏証・寒証は陰証に分類する。
②日本漢方における寒証(寒がり、冷え症)のこと。
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咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)
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のどに炙った肉が張り付いたような異物感がある状態。 咽中炙肉 。梅の種がのどに痞えた感覚(梅核気)と表現されることもある。 現代医学的に言われる咽喉頭異常感症やヒステリー球に相当する。『金匱要略』の半夏厚朴湯の条文に書かれている症状。
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隠痛(いんつう)
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我慢できる程度の、激しくはないが慢性的、持続的な痛み。シクシク痛む。
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陰陽(いんよう)
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①陰陽学説。陰陽論。中国古代の哲学の一部。互いに関連し合いながらも対立する二つの事柄を総括する。天と地・昼と夜・男と女・明と暗・熱と寒・動と静・興奮と抑制・上昇と下降・亢進と衰退…。一般的ルールでは、明るいもの、活動的なもの、温かいもの、外向きなものは「陽」に、暗いもの、動かないもの、冷たいもの、内向きなものは「陰」に属させる。また、一つの事柄の内部にある、対立する側面を説明することもできる(腎陽と腎陰など)。
②証を決める八鋼弁証の表・裏・虚・実・寒・熱・陰・陽の8つを、表裏・虚実・寒熱・陰陽の4セットにしたときの一つ。
③漢方を勉強する者にとっての最初の障害となる複雑な概念。男性の中に女性ホルモンがあるように、陽の中に陰があったりもする。
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陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)
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陰陽説と五行説を結び付けた理論。東洋医学では、体の構造や機能、病気の進展などの解釈に都合よく用いる。臨床的に用いると混乱することもあるので抽象的な概念として理解するべき。
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印籠(いんろう)
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丸薬などを入れて持ち歩く、庶民の携帯用の薬ケース(ピルケース)。江戸時代のファッションアイテム。
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