【当帰四逆加呉茱萸生姜湯】~しもやけや、冷えて下肢や腰、下腹部が痛むときの漢方薬~

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)の解説

当帰四逆加呉茱萸生姜湯とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう

とても長い名前の漢方薬ですが、

当帰四逆湯とうきしぎゃくとう」に、「呉茱萸ごしゅゆ」と「生姜しょうきょう」を加えたもの、という意味です。

手足の血流を改善する効果のある当帰四逆湯に、呉茱萸と生姜によってお腹を温める効果も加えられています。

冷え症、または貧血ぎみで、血の流れがわるいため、手足が冷えてしびれるように痛んだり、下腹部が痛くなりなりやすいものに用いられる漢方薬です。

四逆とは、血流がわるくて手足(肢)の末端()のほうから冷えてくる症状のことです。

構成生薬

漢方薬の名前としては、当帰四逆湯に呉茱萸と生姜を加えたもの、ですが、

構成生薬としては、

桂枝湯けいしとう(または桂枝加芍薬湯けいしかしゃくやくとう)に、当帰・木通・細辛・呉茱萸を加えたもの、でもあります。(※の5つで桂枝湯です。)

 

ざっくりと生薬の特徴を整理します。

ます当帰四逆湯の部分は、

当帰・芍薬⇒血をおぎなう
桂皮・細辛⇒温めて気をめぐらせる
木通⇒浮腫をとり血行をうながす
甘草・大棗⇒胃腸をたすける
また、芍薬・甘草⇒痛みをやわらげる

といった構成になっていて、手足の冷え(しもやけ)、下腹部が冷えて痛むときなどに適しています。

そこに呉茱萸と生姜の組み合わせで健胃・鎮吐・鎮痛作用が加わり、

冷えて胃が痛む場合、吐き気がひどい場合、頭痛が起こる場合などにも対応します。

呉茱萸も生姜もお腹を温めますので、(当帰四逆湯よりも、)手足だけではなく、慢性的な冷えによって内臓まで冷えが及んでいるときに適しています。

効能効果

【医療用エキス製剤】

[ツムラ・クラシエ他]
手足の冷えを感じ、下肢が冷えると下肢又は下腹部が痛くなり易いものの次の諸症:
しもやけ、頭痛、下腹部痛、腰痛

[コタロー]
貧血、冷え症で頭痛、胃部圧重感、腰痛または下腹痛があって凍傷にかかりやすいもの。
凍傷、慢性頭痛、坐骨神経痛、婦人下腹痛。

【薬局製剤】

体力中等度以下で、手足の冷えを感じ、下肢の冷えが強く、下肢又は下腹部が痛くなりやすいものの次の諸症:
冷え症、しもやけ、頭痛、下腹部痛、腰痛、下痢、月経痛

補足

構成生薬の中で、もっとも配合量の多いのが、甘い生薬である大棗なのですが、

全体としては、苦味が強い漢方薬で、飲みづらいかもしれません。

ただし、体を温める効果を期待して使用するものなので、できるだけ温服をおすすめします。(エキス剤の場合はお湯に溶いて)温かいうちに服用してください。

 

一般に伝わるかどうか分かりませんが、言いにくい長い名前を略す場合は「当四呉」と書いて、「とうしご」とか「とうよんご」と言ったりします。

出典

『傷寒論』(3世紀)

手足厥寒し、脈細にして絶えんと欲する者は当帰四逆湯之を主る。もし其の人内に久寒有る者は、当帰四逆加呉茱萸生姜湯が宜し。(厥陰病篇)

手足の先が冷えて、血流が悪くなり、脈が細くなって途絶えそうなものには、当帰四逆湯を用いる。

もし、体の内側(深部)にも慢性的な冷えがあるのなら、当帰四逆加呉茱萸生姜湯の方がよい。

ちなみに原典では、当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、水と同量のお酒を混ぜたもので煎じるように指示されています。

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