大建中湯や小建中湯との飲み合わせに注意が必要な糖尿病治療薬

薬を持って飲み合わせを確認する女性薬剤師のイラスト

大建中湯や小建中湯との飲み合わせで注意が必要な糖尿病治療薬

糖尿病治療薬を服用中に、大建中湯小建中湯を用いる場合に気を付けないといけないことがあります。

糖尿病の薬と、漢方薬との併用については、一般には添付文書にも特に書かれていない内容ですが、それぞれの成分と作用を知っていれば予測できることなので注意をしておきましょう。

α-グルコシダーゼ阻害薬

糖尿病治療薬のひとつである、α-グルコシダーゼ阻害薬の話です。以下、α-GIと書きます。
ボグリボース(ベイスン)
アカルボース(グルコバイ)
ミグリトール(セイブル)
糖尿病の食後過血糖の改善薬として使われています。

α-GIの作用と副作用

食べ物の炭水化物(糖質)は、糖がたくさん結合している構造をしていますが、消化酵素によって、単糖(グルコース等)にまで分解されて腸から吸収します。

糖が2つくっついている二糖類の状態ではまだ吸収されません。

α-GIは、二糖類から単糖への分解をする段階での、二糖類水解酵素の働きを阻害します。

そのため糖質の消化吸収の速度が遅くなり、食後の血糖値の急上昇を抑えられます。

糖の消化を遅らせるという点では、ご飯の前に野菜を先に食べる、という手段と似ているかもしれません。

しかし、α-GIの場合は、二糖類を分解する消化酵素の働きを弱くしてしまうので 悪く言えば消化不良の状況を作りだします。

それによって(しばらく服用すれば体が慣れてきますけど)服薬開始時には高頻度で起こる副作用があります。

例えば腹部膨満、鼓脹、放屁(おなら)増加です。 吸収されない糖は腸内細菌の栄養になり、そのとき発酵が行われ、腸内にガスがたまりやすくなるためです。

もしひどくなれば腸閉塞を起こすおそれもあります。

大建中湯や小建中湯に配合される膠飴(コウイ)について

膠飴は、でんぷんに麦芽などを加えて醗酵させた水飴のようなもの。

正確には、第十七改正日本薬局方によると、、、
原料の植物は、トウモロコシ、キャッサバ、ジャガイモ、サツマイモ、イネを使うことができ、 そのデンプン又はイネの種皮を除いた種子を加水分解し、糖化したものです。

加工法は二通り規定されており、
1、デンプンを塩酸、シュウ酸、アミラーゼ又は麦芽汁などで糖化し、濃縮乾燥し、粉末に加工する。
2、デンプン又はデンプンに水を加えて加熱して糊化したものに、塩酸、シュウ酸、アミラーゼ又は麦芽汁などを加えて糖化し、乾燥加工又は濃縮加工する。

1の場合、白色の結晶性の粉末。
2の場合、無色〜褐色、橙色〜半橙色の塊、又は粘性のある液です。
いずれも甘いです。

成分は、主にマルトースを含むほか、グルコース、マルトトリオースなどを含む場合がある、とされています。
マルトースは麦芽糖ともいいます。グルコースが2つ結合しているものです。
マルトトリオースは、グルコースが3つ結合しているのものです。オリゴ糖に含まれます。

結論

膠飴の成分は、主にマルトール(麦芽糖)、つまり二糖類なのです。

ということで、

α-GIを服用して膨満感が起こったとき、膨満感や腹痛があるからといって「大建中湯」や「小建中湯」を服用すると

二糖類が消化できなくて困っているところに、二糖類を補給していることになります。

食後に膨満感や吐き気があって苦しいときに、普通、甘い糖類は食べないと思います。

薬とはいっても膠飴を含む「大建中湯」や「小建中湯」も同じように控えなければいけません。

 

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