めまい・ふらつきの漢方薬
立ち上がったとき、急に視界がぐるぐる回る。
歩いていると地面がふわふわして、まっすぐ歩けない。
めまいやふらつきは、一瞬で日常の安全と安心を奪ってしまう症状です。
西洋医学ではメニエール病、良性発作性頭位めまい症、起立性低血圧などの診断がされることもありますが、検査で異常が見つからないことも少なくありません。
漢方では、めまいやふらつきを「気・血・水の乱れ」や「臓腑の機能低下による全身のバランスの崩れ」ととらえます。
原因を体質から見極め、根本的に改善して再発を防ぐことを目指します。
漢方で考えるめまい・ふらつきの原因と対応する漢方薬例
① 肝陽化風(かんようかふう)
特徴:ストレスや怒り、緊張などで自律神経をつかさどる「肝」が乱れ、陽気(肝陽)が過剰に高まり、頭部に上昇。内風が生じて、めまい・ふらつきが起こります。頭痛・耳鳴り・目の充血・動悸などを伴うこともあります。
代表的な漢方薬例:
釣藤散(ちょうとうさん):高血圧傾向・頭痛や耳鳴りを伴うめまいに
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ):神経が高ぶりイライラしやすい、不眠を伴う場合に
② 痰湿(たんしつ)・痰飲(たんいん)
特徴:体内に余分な水分が停滞し、内耳や脳の平衡感覚に影響を与えます。天気や湿度の変化で悪化しやすく、吐き気・重だるさ・頭重感を伴うことがあります。
代表的な漢方薬例
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう):胃腸虚弱で、水分代謝がよわい人に。余分な水分が停滞しやすい体質の改善に用いられます。
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう):水滞があり、巡りがわるい状態に用いられます。立ちくらみ、ふらつき、動悸など。頭位性めまい、メニエール病にも。
③ 気血両虚(きけつりょうきょ)
特徴:慢性的な疲労や病後で「血」(血液や栄養)も、「気」(頭部へ血を押し上げる力)もともに不足し、十分な栄養が頭部に供給されずに、めまい・ふらつきが生じます。立ちくらみ・顔色不良・手足の冷えなどを伴うことが多いです。
代表的な漢方薬例:
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう):疲労倦怠感が続いている、貧血、手足の冷えなど
帰脾湯(きひとう):心身の疲労、不眠や精神不安を伴う場合に
④ 腎虚(じんきょ)
特徴:加齢や慢性疾患、生活の不摂生で「腎」の力が低下し、耳や平衡感覚をつかさどる機能が衰えます。耳鳴り・難聴・腰や膝のだるさ・目のかすみなどを伴いやすいです。
代表的な漢方薬例:
六味地黄丸(ろくみじおうがん):腎陰を補います、のぼせ、寝汗、口の渇きを伴う場合に。
八味地黄丸(はちみじおうがん):腎陽を補います。冷えや足腰の衰え、排尿異常を伴う場合に。
その他の代表的な漢方薬
漢方薬名 | 特徴 |
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真武湯(しんぶとう) | フラフラして真っ直ぐ歩けない・冷えと水滞によるめまい |
五苓散(ごれいさん) | 水分代謝不良による急性のめまい・頭痛・吐き気 |
沢瀉湯(たくしゃとう) | 立ち上がることができないグルグルと回るめまいや、頭重感 |
女神散(にょしんさん) | つよいストレスによる自律神経の乱れ、イライラや精神不安を伴う場合に |
など、体質・体調に応じて適した処方をご提案いたします。
